営業戦略

読書の秋におすすめ!2018年話題の営業本に見る営業のトレンドとこれから

読書の秋におすすめ!2018年話題の営業本に見る営業のトレンドとこれから

新語・流行語大賞がノミネートされたり、紅白歌合戦の出演者が発表されたりと、今年も少しずつ年の瀬が近づいてきています。新語・流行語のノミネート語の中に「君たちはどう生きるか」というものがありますが、これは戦前に吉野源三郎が著した同名の書籍を昨年漫画化したのがベストセラーになったことによるものです。

話題になっている本はその時代を映す鏡ではありますが、残念ながら営業関連の本はマーケティングや経営学の本と比べると書店での取り扱いが少なく、また海外でブームになっていてもなかなか邦訳されないという傾向があるようです。そのため、国内の書店の本棚を眺めているだけでは、営業の世界で何が話題になっていて、どのようなトレンドが起きているのかが見えてきません。

そこで今回のトライツニュースでは、2018年に出版された中でも要注目の海外の営業本をまとめてご紹介したいと思います。営業の世界で、そして世界の営業で何に注目が集まっているのか見ていきましょう。

2018年に出版された海外のおすすめ営業本

B2B営業向けのサービス/コンサルティング会社であるBrainshark社と、B2Bマーケティングのサービス/コンサルティング会社であるBluleads社がそれぞれ、おススメの営業本を紹介する記事「Best Sales Books to Read In 2018 [Top 10]」と「11 Books a CEO Recommends to Every Salesperson」を発表しています。この中から、2018年に出版された注目の新刊書籍をまとめて見ていくことにしましょう。

営業の基本を抑え、顧客の変化に対応するにはこの3冊

最初にご紹介するのはこの3冊です。
「Gap Selling」(JIm Keenan, December 26, 2018)
「Objections」(Jeb Blount, June 13, 2018)
「Combo Prospecting」(Tony Hughes, January 11, 2018)

「Gap Selling」はどちらかと言えばオーソドックスな課題解決型営業の本。問題が起きている現状と目指したい姿である将来との差であるGapを設定するという課題解決型営業の手法を、現代のビジネス環境に合わせてまとめています。

「Objections」(反対、反論)と「Combo Prospecting」は、Webを駆使して情報収集するようになってより疑い深くなり、営業マンではコントロールできなくなってきているという、顧客の変化にいかに対応するべきかを教えてくれる本です。「Objections」の方が営業マンとしての振る舞い方にウエイトを置いており、「Combo Prospecting」は最近のITテクノロジーの活用法も含めているところに特徴があります。ちなみに「Combo Prospecting」の題名ですが、副題が「The Powerful One-Two Punch That Fill Your Pipeline and Win Sales」となっているように、有効な営業手法の組合せ(コンボ)を探索したという意味です。

営業/マーケティングの話題のキーワードについて学ぶならこの3冊

続けてご紹介するのが、営業/マーケティングで話題になっているキーワードに関する3冊です。
「Inbound Selling」(Brian Signorelli, April 24, 2018)
「Sales Enablement」(Byron Matthews and Tamara Schenk, May 1, 2018)
「Stop Selling and Start Leading」(James Kouzes, Barry Posner and Deb Calvert, March 13, 2018)

「Inbound Selling」は題名のとおり、Webなどの情報をもとに顧客が自ら営業に問合せ(インバウンド)が入る営業/マーケティングのしくみの作り方についての本。「Sales Enablement」も文字通りで営業の有効性(イネーブルメント)を高めるための研修やコンテンツ作り、コーチング等の施策の考え方とその全体像を解説したもの。「Stop Selling and Start Leading」は、以前のトライツニュースでもご紹介した「インサイト営業」についての本です。営業マンが顧客にインサイト(洞察)を提供し、顧客の購買活動をリードするための考え方や手法がまとまっています。

働き方改革時代の営業チームを考える人向けの1冊

今や営業のみならず日本中で対応が進んできている「働き方改革」ですが、この働き方改革の時代での、営業を含めたチームの率い方についての本が出版されていますので詳しくご紹介したいと思います。
「The Long-Distance Leader」(Kevin Eikenberry and Wayne Turmel, January 4, 2018)

タイトルからもお分かりのように、この本は純粋な営業本というよりもリーダーシップについての書籍です。この本によると、リモートワークなどの制度やシステムが発展した今日のアメリカでは、チームの中の半分のメンバーは週3日以上を自宅やサテライトオフィスなどの社外で働いているようになっており、リーダーやマネージャーがどうやってリーダシップを発揮すればよいのかが大きな問題となっています。

以前は、リーダーが意思決定したり、質問したり、指示したりする場合は相手の顔を見たり声を聞くことができていたので、自分の言っていることを相手が理解できているかどうかが分かっていた。リアルタイムでフィードバックが得られていたので、アドバイスや質問の仕方をすぐに変えることができていたし、答えが欲しいときにはすぐに手に入れられていた。それに相手からの笑顔や「ありがとう」という一言ももらえていたので、有効なリーダーであることで感情的な報酬も得られていた。

しかし、現在ではそのような報酬は失われつつある。リーダーは暗闇の中で仕事をしており、チーム内で何が起こっているのかが分からない。そして、このような仕事の仕方は前任者も経験したことがないものだ。(中略)遠距離リーダー(Long-Distance Leader)であるということは、これまでのリーダーシップとは劇的に違う別の仕事なのである。

同著では、このようなリーダーシップのあり方の変化について、遠距離リーダーシップの19の原則を示すとともに、遠距離でのコーチングの仕方や遠く離れたメンバーとの信頼関係の構築の仕方について具体的に解説しています。日本でもリモートワークや在宅勤務などがさらに浸透することで、メンバーとのコミュニケーションが課題となってくることでしょう。その時には、ここでいう長距離リーダーシップが参考になるかも知れません。

営業に自信のない内向的なタイプの人に勇気と知恵を与える1冊

5年以上前のトライツニュースで、今でもよく閲覧されるものの1つに「外交的な人と内向的な人。営業マンに向いているのはどっち?」という記事があります。もう1つの詳しくご紹介したい本は、それにも通じるものがある1冊です。
「The Introvert’s Edge : How The Quiet and Shy Can Outsell Anyone」(Matthew Pollard, January 4, 2018)

タイトルは「内向的な人の強み:物静かでシャイな人が誰よりも売れるようになる方法」というもの。これまで明るく外交的な人向けの仕事だと思われてきた営業を、物静かで恥ずかしがり屋な人でもできる。いや、むしろそのような内向的な人の方がより売れるのだと言う著者の経験をもとにした営業本です。

後書きにこの本の特徴がよくまとまっていますので、抜粋してご紹介します。

あなたはこれまで「偽って」営業をしてきました。営業で成功するためには押しの強さが必要、というのは真実ではありません。口達者である必要も、応酬話法を覚える必要も、外交的であるかのように振る舞うことも必要ないのです。

真実はこうです。真の自分自身であるという武器を得られれば、内向性は最高の営業マンをつくる。著者も内向的なタイプでありながら、外交的な相手よりも継続的により高い成果を上げてきました。彼が解明した7つのステップは、内向的な経営者や営業マンが生まれもっての強みを活かし、それを強みに変えることができます。その7つのステップは以下のとおりです。
・営業することの恐怖を克服する
・営業活動を信頼構築システムへと転換する
・反論に対して物語で対応する
・信頼関係を構築する
・あらゆる状況に対して準備する
・営業を楽しむ

先に触れた「インサイト営業」のように、現在の顧客が求めているのは過度にフレンドリーで明るい外交的な営業マンではなくなってきています。自分たちにとって価値のあるインサイトを提供してくれる専門家であることは、内向的な人でも十分に実現可能ですし、むしろそのような人の方に顧客が信頼を寄せてくれるということも実際に多々あります。このような顧客の要望の変化に対応するという観点からも、この本のメッセージは重要だと私は思います。

読書の秋に「営業マンはこれからどう生きるか」を考えてみよう

2018年に出版された海外の営業関連の話題の本のエッセンスを駆け足で紹介してきましたが、参考になるものはありましたでしょうか。

冒頭で触れた「君たちはどう生きるか」は、軍国主義化が進んでいた80年前の日本という不安定な環境の中で、目的を見失ってしまった若者に向かって書かれた本でした。その一方で、営業マンが知らないところでWebで情報収集する顧客に、営業の仕事にも浸透し始めているAIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など、現在の営業を取り巻く環境は大きく変わってきていますし、その中で顧客が営業マンに求める価値や目的も変化しつつあります。

今回ご紹介したような本を通じて、働き方改革などの環境の変化や顧客の変化に対応すること、インサイト営業のような話題のキーワードについて学ぶこと、そして、自分自身の強みを再確認してそれを武器にするすべを身に付けること。これらは「営業マンは(これから)どう生きるか」という大きな問いへの答えなのかも知れません。
今回のトライツニュースを、残りわずかとなった読書の秋で手に取る本の参考にしていただけたら幸いです。

参考:
Best Sales Books to Read In 2018 [Top 10]」(Brainshark, July 5, 2018)
11 Books a CEO Recommends to Every Salesperson」(Bluleads, September 26, 2018)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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