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あなたの営業は大丈夫?「資料依存症」の実態とその予防法

あなたの営業は大丈夫?「資料依存症」の実態とその予防法

夏休みもあと少しとなり、子どもたちの宿題に気をもんでいる人も多いことでしょう。ワーク集に日記帳、読書感想文に自由研究など夏休み中に作らないといけないアウトプットがたくさん。アウトプットの期日に追われるのは大人になっても変わらないので、今のうちに段取りよく進めるコツを学んでもらいたいものだと思います。

さて、今回のトライツニュースは多くのB2B営業が作られなければならないアウトプットである「営業資料」に関し、特に最近若手営業マンの間で増えているある症状について見ていきたいと思います。

現代のB2B営業にとって資料作成は不可欠の仕事

最近のB2B営業では、商品カタログと見積書だけで商談を行うよりも、「〇〇提案書」「◇◇のご提案」などという表紙がしっかり付いた顧客向けの提案書を使って商談をすることが増えました。その背景には、単に商品を売り込むのではなく、提案型営業や課題解決型営業などと言われる顧客のニーズや課題を踏まえて提案する営業手法が一般的になってきたということ、そしてPCが普及したことで営業マン一人ひとりが自分で提案書などの資料を簡単に作れるようになってきた、という2点があります。

また、企業全般のセキュリティが厳しくなったことで、顧客のところにぶらりと立ち寄るようなことが難しくなってきています。事前にアポを取る必要があるので、それなりに資料を準備して訪問をしないと・・・と考えて単なる商品紹介であっても少し顧客向けのアレンジした資料を作ることも行われています。
これはむやみに訪問回数を増やすのではなく効率的な営業活動を意識する営業組織が増えたということも関係しているでしょう。

このようなことから、営業マンにとって「顧客のニーズや課題に合わせた提案書」や「顧客が意思決定するために必要な、過去成功事例や投資対効果情報」などの資料作成は必要不可欠な仕事になっています。

営業マンと資料の主従が逆転する「資料依存症」

しかし、そのように資料作成の重要度が高まる一方で、過度に資料頼みになってしまう「資料依存症」とでも言うべき状態になっている営業マンを、特に若手の中でよく見かけるようになりました。本来は、資料は営業が言いたいことを分かりやすく伝えるための補助ツールという役割だったはずなのに、いつの間にか資料が主となり、営業マンがその説明要員というように主従が逆転してしまっているのです。

いきなり「資料依存症」と言われてもピンとこない方も多いでしょうから、私がつい最近体験したお話をします。ある企業で営業のチーム会議に同席したのですが、そこで中堅と呼ばれる世代の営業マンが自分の担当する顧客への次回訪問準備について次のような発言をしていました。
「次回訪問は1時間でアポが取れています」
「ただ、今ある提案資料だともって20分くらいしか話せません」
「せっかく取れたアポなので、他に何か持っていける資料があったら教えてください」

もちろん、アポイントの時間を目いっぱい使って情報提供することが必ず悪いということではありません。しかし、20分も話ができる資料があるのであれば、残りの時間は資料についての質疑応答や関連する顧客の課題や悩みをオープンにヒアリングする方が、その資料についての理解を深めるとともに具体的な商談の可能性の有無を探ることもできるでしょう。この方が、貴重なアポイントの時間にあれこれと詰め込んで情報提供して消化不良になるよりも、有意義な時間の使い方だと言えると思います。

資料依存症だと非効率で、顧客の反応が見えなくなる

この例のように、営業活動での資料の重要度が本来以上に高まってしまい、「資料に書いてないことは話せない」「資料がないと何をしたら良いか分からない」というのが「資料依存症」です。これになってしまうと、顧客に手ぶらで訪問することを嫌い、「なんでもいいから手土産(持っていける資料)が欲しい」と言うようになるのです。

資料作りは必要ですし大事なことなのですが、資料に書いてあることを説明してそれについてのYes/Noを聞いてくるだけの営業活動では、当たるも八卦のくじ引きを繰り返すようなもので非常に効率が悪くなってしまいます。

そして、「資料依存症」の最大の問題は、資料を説明することが目的化してしまうので、説明が終わればそれで満足してしまい、商談の中での顧客の気持ちがどのように変化したのかということにまで気持ちが回らなくなってしまうことです。そのため、「良い資料はできたし、しっかりプレゼンしたはずなのに、なぜかその先につながらない」ということが起こってしまうのです。

そのような「資料依存症」から脱却するには、営業活動の目的はできの良い資料を作って説明することではなく、顧客の気持ちに変化をもたらすことだと改めて認識すること。そして、資料をきっかけとして顧客の課題や悩みを聞き出したり、今後の進め方について相談したりできるようなコミュニケーションスキルの向上が必要なのです。

「資料依存症」の一因は営業マネージャーにあり

実は営業マンが「資料依存症」にかかってしまう原因の1つは、営業マネージャーにもあります。

部下が顧客を訪問しようとしているときに、「資料を見せてみろ」と持参する資料だけをチェックする営業マネージャーをよく目にします。そのように資料をメインとしてチェックされる状況では、営業マンは資料チェックがOKとなることを最優先にして準備を進めてしまい、その資料を顧客にきちんと説明できたらそれでよしという意識になってしまいます。つまり、営業マネージャーがかかっている「資料依存症」が部下に感染してしまっているということがあるのです。

そのため、営業マネージャーはただ資料だけをチェックするのではなく、その訪問の目的が何で、顧客にどのような変化を起こしたいと考えているのか、という観点からチェックする必要がありますし、それに基づいて訪問時間のうちどれくらいを資料説明に充てて、残りの時間で何をするかをアドバイスしてあげなくてはなりません。気になったら、その場でロープレをやってみることも有効でしょう。

そのように資料でなく、商談の中身に注目したコミュニケーションが普段からできていれば、部下は「資料依存症」にかかりにくくなるはずです。
現代の営業組織がかかってしまいがちな「資料依存症」。その予防策の1つとして、営業マネージャーによる普段の仕事のチェックの仕方・観点があります。

子供が夏休み中にアウトプットすべき宿題は始業式の日に提出すればオシマイですが、営業のアウトプットは資料を作って説明してオシマイではありません。ただ営業マンはいろいろな案件に追われて忙しくなると、どうしても資料づくりを軸に考えてしまいがちになるので、マネージャーのチェックが大切になるのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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