マーケティング

2018年の新キーワード「リレーションIQ」を営業デジタル化から考える

2018年の新キーワード「リレーションIQ」を営業デジタル化から考える

日進月歩の勢いで変化しているB2Bの営業・マーケティング。毎年のように新しいキーワードやサービスが出てきています。

2018年の上半期にも、やはり新しいキーワードが出てきました。その名は「リレーションIQ(Relationship Intelligence)」。今回のトライツニュースでは要注目のキーワード「リレーションIQ」について考えてみたいと思います。

海外記事:B2B営業・マーケティングの新キーワード「リレーションIQ」

ビジネス情報サイトPROformaに、CRM関連システム開発を行っているベンチャー企業Affinity社の記事が紹介されていました。タイトルは「Why Account-Based Marketing and Relationship Intelligence is a Perfect Union」。この記事で大きく取り上げられているのが、タイトルにもある「Relationship Intelligence(リレーションIQ)」です。

このリレーションIQがどういうもので、どれだけの成果が上がるのか、そしてこのようなアイデアが出てきた背景について、記事の内容をかいつまんで見ていきましょう。

リレーションIQは営業・マーケティング領域における最新のコンセプトであり、Affinity社がさらにそれを進化させようとしています。Affinity社のリレーションIQ技術によって、社内にあるEメールなどのコミュニケーションデータを分析し、営業活動の優先順位が分かるリレーショングラフを自動で作成します。このリレーショングラフは社内のだれが顧客の誰をどれくらいよく知っているかを俯瞰して見られるものなので、これによって最適なアプローチ先や紹介の依頼先が分かります。

 

ABMでは顧客と長期間のリレーションを構築することに最重点が置かれています。リレーションIQによってつながった顧客は通常よりも定着率が37%高く、生涯価値(LTV)が16%高い傾向があります。

ここでABMという言葉が出てきましたので、簡単にご説明します。ABMとはAccout Based Marketingの略で、従来のリード(個人)単位のマーケティングではなく、アカウント(企業、組織)単位でマーケティングをしようというもの。例えば、従来型のマーケティングが個人に対してメールマガジンなどのプロモーションをかけて反応が良い見込客を獲得していたものだとすると、ABMはターゲットとする企業、組織の中でのプロモーションの浸透率などを見ながら見込客を育成・獲得するというものです。トライツニュースでも何回か取り上げていますが、特に米国のB2B市場ではこのABMが数年前から流行・浸透しています。

そして、記事は最後にリレーションIQというコンセプトが今のB2B営業に必要となっている背景を解説しています。

SiriusDecisions社の調査レポート「State of Account-Based Marketing」によると92%の企業がABMに価値を感じているものの、47%の企業はABMを成功させるために必要なスキルを持っていないと回答しています。リレーションIQは顧客とのリレーションを360°俯瞰して見られるようにし、ABMでの効率的な顧客体験を提供できるようにすることで、このスキルのギャップを乗り越えることに役立つツールなのです。

リレーションIQの注目ポイントは「スコアリングモデル」と「リアルタイム性」

ここまで紹介してきたリレーションIQですが、私は2つの点で面白いと感じています。

1点目は、顧客との関係性という複雑なものについてスコアリングモデルを構築しているということです。顧客の組織の中のキーマンを洗い出して、その人たちとのリレーション度合をコンタクトの頻度や量をベースに数値化するというのは、今までにあったようでなかった機能です。

そして2点目に面白いと感じたのは、Eメールやカレンダー、SFAといったデータソースから解析することで、自動でリアルタイムのスコアをいつでも見られる仕組みです。これまで、トライツでも顧客との関係性をスコアリングしよう、ネットワークを俯瞰して図示しようということをプロジェクトでやってきていますが、そこでは○月○日時点でのスクリーンショットとしての関係性をスコア化/図解化しています。それに対しこのリレーションIQは、リアルタイムで最新のリレーション度合を見られるというところにオリジナリティがあると感じています。

バズワードでは終わらない「リレーションIQ」

とは言え、「また新しい言葉が出てきたけど、本当に定着するの?」「しばらくしたら誰も使わなくなるんじゃないの?」とお思いの方もいらっしゃることでしょう。確かに、マーケティングの世界には野火のように一気に広まったものの今は見る影もない、という用語がたくさんあります。

しかし、このリレーションIQという概念は、SFAやMAなどに代表される「B2B営業のデジタル化」の大きな流れの中で捉えると、ただの一過性のバズワードではなく、これからのB2B営業にとって不可欠な考え方・ツールだということが見えてきます。

営業デジタル化の本質は「連携・統合」にあり

顧客がWebなどのデジタルツールを購買活動に使うように変化してきていること、働き方改革などの掛け声のもとで労働生産性の向上が求められていることなどから、B2B営業でもデジタルツールの活用が進められています。近年急速に普及しているSFAやMA、名刺管理ソフトに、一人一台が当たり前になったスマートホンなど、営業担当者は数多くのデジタルツールに囲まれて仕事をしています。

ただ、1つ1つの業務に対して個別にデジタルツールを入れるだけでは、生産性向上にも限界があります。例えば、サラリーマンなら毎月必ずやる旅費精算。スマホのスケジューラーアプリで外出した日を確認して、Webの路線図サービスのページで交通費を求めて、それをExcelの旅費精算用のシートに転記・集計する、というこの3つの処理はそれぞれは個別にデジタル化されていますが、それぞれの処理を人がつないでいるために生産性が低く抑えられてしまっています。もし、スケジューラーと路線図サービスが旅費精算シートとつながっており、さらにスマートホンのGPSデータも接続していれば、登録されている外出予定のうち実際に移動したものについて自動で正確な旅費精算ができるはずで、まさにこれこそがデジタル化のメリットだと言えるでしょう。

これと同じように、B2B営業のデジタル化も、SFAやMAなどのツールを1つずつ入れていくだけでは生産性向上にも限界があります。それぞれのデジタルツールが連携・統合されており、中間で発生しがちな人的な作業や判断を自動化するところまで進めないと、大幅な営業活動の効率化を実現するのは難しいのです。今回紹介したリレーションIQは、人間の判断で処理してきた顧客の優先順位付けを、EメールやスケジューラーやSFAというデジタルツールからコミュニケーションデータを取り出して自動で判別し、ABMシステムに連携させるというもので、営業のデジタル化のためには必要不可欠な機能です。

リレーションIQはB2B営業のデジタル化に欠かせない

今回ご紹介した「リレーションIQ」という概念、まだまだサービスとしては萌芽期ですので、関係性を測るモデルなどはこれから出てくる多くのプレーヤーによってブラッシュアップされることでしょうし、そもそもの名称さえも変わってしまうかもしれません。

しかし、顧客とのコミュニケーション情報を統合的に集約して、関係性をスコアリングして優先順位をつけるという機能は営業・マーケティング活動において必要不可欠なものですし、SFAとMAやABMとを連携させる要の機能なので、今後ますます注目されることでしょう。今後もトライツニュースでは、「B2B営業のデジタル化」という潮流から様々なコンセプトやキーワードをご紹介していきますので、今後もご期待ください。

参考:「Why Account-Based Marketing and Relationship Intelligence is a Perfect Union」(Proforma Graphic Services, Jul 19, 2018)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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