人材育成

段取り上手な部下を育てるマネージャーの秘訣とは

段取り上手な部下を育てるマネージャーの秘訣とは

「段取り八分の仕事二分」という言葉があります。これは段取りがきちんとできていたら、仕事の八割は終わったようなものだという意味です。皆さんも社会人になった時に、上司や先輩から段取りの大事さについて教わったご経験があるのではないでしょうか。

営業の仕事においても、顧客訪問の準備から、顧客の上司に自社の上司を会わせる手はずに、納品の準備など、段取りだらけです。そのため、営業マネージャーが部下を育成するときに、いかに部下の「段取り」を高めるかというのはとても重要なポイントの一つです。

そこで今回のトライツニュースは、「段取り上手な部下を育てるために大事なこと」について考えてみたいと思います。

「段取り」という言葉の由来

そもそも、段取りという言葉はどこから来ているのでしょうか。

一説によると、歌舞伎が幕間になるまでの一まとまりを「段」と呼び、その段の構成を組み立てることを段取りと呼ぶようになったとか。また、他の説では、傾斜地に石段を作るときに、勾配の具合に応じて何段の石段を積み上げるのかを決めることを「段を取る」と言っていた、というものがあります。完成してから昇り降りしやすく、費用に見合ったものになっているかを評価する際に、「段取りが良い」「段取りが悪い」などと言っていたのが広く使われるようになったのだそうです。

そのようにして生まれた「段取り」という言葉は、今では仕事のスキルとして、なくてはならないものになっています。

B2B営業は一品一様なので段取りのスキルが特に重要

段取りのスキルを高めるための話に入る前に、少々こまかいのですが、段取りが必要な仕事とそうでない仕事についてチェックしておきましょう。

私は学生時代に塾講師のアルバイトをしていたのですが、そこでは生徒を勧誘するためのダイレクトメールを定期的に発送していました。そのため、その時期になると学生講師は部屋に集められて、皆でチラシを折り畳んでは封入するという作業をひたすらやっていました。このように型がしっかりと定まった業務の場合は、段取りのスキルは必要ありません。作業手順をトコトン効率化したうえで、それが体に染み込むまで反復練習すれば事足ります。

一方で、担当する生徒の夏休みのカリキュラムを作るときは、生徒によって受講科目も単元ごとの理解の度合も異なるので、申し込まれたコマ数の中で一番学習効果が高くなるよう、科目ごと単元ごとに使うテキストとその順番を段取りしなくてはなりません。

このように、仕事の内容がバラバラで、仕事に取り掛かるために作業工程を組み立て直さなければいけない場合は、段取りが不可欠になります。B2B営業の仕事の多くもこのように顧客に合わせて一品一様で考えることが多いので、段取りのスキルが大事になってくるのです。

部下の段取りスキルを高めるためにマネージャーにできること

この段取りのスキルを高めるためのポイントは、さまざまなものの本に書かれていますので、ここでは詳しくは解説しないことにします。だいたいどの本でも
「目的・目標を明確にする」
「やることを具体的な表現で、リストアップする」
「不測の事態に備えて、準備する」
というポイントが共通しているようです

このように、メンバーとして段取りのスキルを高めるためのヒントは色々なところで語られているのですが、実はマネージャーが部下の段取りのスキルを高めるためのヒントはあまり説明されていません。その結果、「アイツは段取りがイマイチだ」などと評価するばかりで、スキルを育成できていないということが色々な職場で起こっているように感じます。

ではマネージャーとして部下の段取りのスキルを高めるためにどうするか。「定石」となるのは、部下に計画を書かせることでしょう。しかし、段取りの悪い部下は、仕事が重なっていてまさに段取りが必要なときに、頭の中で考えていることをアウトプットする時間を作ることができず、結果として対応が後手後手になることでさらに気持ちにも時間にも余裕がなくなり、その先の段取りを立てたり、必要な相談をマネージャーにする余裕がなくなることを繰り返すという悪循環に陥ってしまっているので、なかなか「段取り表を作れ」という指示だけではスタートラインにすら付けないことが多いのです。

そんな状況でマネージャーがその部下に改めて「段取りの重要性」について説教したり、強制的に「段取り表」を作らせることはあまり有効な手段ではありません。気持ちに余裕のない中でのお説教は頭に入りませんし、やっつけで作られた段取り表を見てまたお説教することにもなるからです。

それよりもマネージャーがやるべきこととして有効なのは、部下が「カンタンに」「大事なツボをきちんと押さえた」段取りができるように、計画作りのテンプレートや雛形を用意するなどして、部下の段取りの段取りをしてあげることです。

そのときに大事になってくるのが、自分たちの営業の仕事をパターン化し、体系化するスキルです。しかしながら一般的には、顧客の特性や要望に応じて一品一様なB2B営業の仕事をどう料理するかが営業の腕の見せ所であり、一人で段取りできて一人前、と考えられています。従って「我々の仕事をファーストフードの店員のようにマニュアル化することはムリ」と思い込んでいるマネージャーは少なくありません。

事例:煩雑な仕事でもパターン化・体系化できる

つい最近のことですが、煩雑を極めていた営業の仕事を整理・体系化するプロジェクトがありました。

その企業は自社で保有する生産設備を活かして顧客のものづくりを請け負うのですが、顧客の要望はまさに一品一様なので、新しく案件が出てくるたびに担当者がめいめいで段取りを考えるという気の遠くなるような仕事をしていました。しかし、営業メンバーと工場のメンバーで集まって仕事の中身を棚卸ししてみた結果、ある切り口から分類すると、7つのパターンの組み合わせであるということが分かってきたのです。

そのため、その企業では、今まで匠の技であったスケジュール作成作業を、7つのパターンの中から当てはまるものを選ぶだけで自動的に雛形を作れるようになりました。これなど、メンバーの段取りのスキルを高めるために仕事をパターン化、体系化した好例だと思います。

部下を段取り上手にするマネージャーになろう

近年の働き方改革などの影響で、これまで残業もやむなしと見なされていた営業部門でも効率的な働き方が求められるようになってきています。そのためには、残業時間の規制や有給休暇の消化率向上などの制度面だけでなく、実際の業務をいかに効率的に進めるかという段取りのスキルをマネージャー以下、組織として高めていくことが益々重要になってくるでしょう。

そうなると、マネージャーには「段取り上手になれ」と言うのではなく、「どうすればもっと上手く段取りができるようになるか」「自分はどう段取りをしているか」「段取りの上手い部下とそうでない部下の違いは何か」などを考え、足りない部分、弱い部分を補うために仕事のやり方を整理したり、ツールを作ったりしていくことが必要になるのです。また、そういうことが自分だけでできないと思ったら、得意な人を巻き込んで上手く進めていくということも大事なことになってくると思います。

もし、あなたが部下の「段取り力」が低いと悩んでおられるとしたら、それはあなたの「部下に段取りをさせる力」の問題として考えてみてはいかがでしょうか。段取りの段取りというのは大切な視点のように思います。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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