営業戦略

顧客主導が強まるB2Bの購買活動。やってみた人にしかわからない世界

顧客主導が強まるB2Bの購買活動。やってみた人にしかわからない世界

このトライツニュースは2013年の6月に開始してからもう少しで丸5年が経ちます。この5年間のうちに、WebやSNSなどの普及によってB2B顧客の購買活動が様変わりしているという調査記事を折に触れてはご紹介してきました。

その顧客の購買活動の変化について、大変興味深い調査データを海外のレポートの中で新たに見つけましたので、今回のトライツニュースでご紹介したいと思います。

海外調査データ:情報収集に熱心で営業よりも先を行く B2B顧客

今回ご紹介するのはマーケティング技術に関する調査・コンテンツ企業であるMarTech Series社の最近の記事「How to Champion B2B Social Selling and Deliver ROI」です。タイトルのとおり、記事の内容はSNSを営業活動に活用するいわゆる「ソーシャルセリング」についてなのですが、その中で紹介されている「B2B顧客の購買活動の実態」に関するデータが興味深いものでしたので、抜粋してご紹介したいと思います。

67%のB2B顧客は、Webでのやり取りだけで購買活動を行った経験がある(SiriusDecisions社調べ)

B2B顧客が購買の意思決定をするためには、関連するコンテンツが少なくとも5つは必要である(CMO Council社調べ)

90%の購買の意思決定者は、どのようなことがあっても営業電話には出ない(InsideView社調べ)

B2Bの購買担当者の77%は、自分で基本的な調査を終えた後じゃないと営業担当者との電話/面談に応じない(CBE Global社調べ)

このデータから見えてくるB2B顧客の姿は、皆さんが日々の営業活動の中で接してきた顧客の購買担当者とはずいぶんと違ったものになっているのではないでしょうか。

顧客は営業担当者と話をするよりも先にWeb上のコンテンツで情報収集を行い、自分が満足してからでないと営業担当者とは話をしようとしません。そして、最終の意思決定に至るまでにいくつものコンテンツをWebを中心に探し集めています。このようにWebを使えば自分の力で必要な情報を集められるので、顧客が主導権をしっかりと握ったまま購買活動を進めています。ご紹介したデータからは、情報収集に熱心で、営業担当者よりも先を行こうとする顧客の姿が見えてきます。

とは言うものの、このようなデータを見てもピンとこない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • ホワイトペーパーなどのWeb上のコンテンツがなくても、受注できている
  • 普通に会うことができる既存の顧客がたくさんいるから、Webにまで手を広げる必要がない
  • どんな会社・人から問い合わせが来るか分からないWebマーケティングは非効率的なのでは

そんな声をよく聞きます。しかし、購買活動のWeb化は確実に進んでいます。私の周りでもそれを実感する出来事がいくつかありましたので簡単にご紹介します。

日本のB2B顧客もコンテンツを探し求めている

1つは、あるメーカーがニッチな分野で新規開拓をするために、その分野向けのホワイトペーパーを作成してWebサイトに掲載したところ、たった1週間で想像をはるかに超える数のダウンロードがありました。しかもその中にはかなりの大企業も含まれ、結果として質の高い見込客リストを短期間で手に入れることができました。

もう1つは、1年ほど前からWebマーケティングに取り組み始めたB2B企業での事例です。主要なサービスごとにホワイトペーパーを作成し、3か月に1回程度ビジネスブログを発信。頻度的にも内容的にもまだまだ改善の余地がある状態であるにも関わらず、大企業をはじめとする色々な顧客から問い合わせが来ており、その顧客のうちの1つで大型受注が取れています。

そして、トライツのWebサイトでも、ニッチな内容ながらコンテンツのダウンロードやトライツニュースのコピーがかなりの頻度でされており、あるコンテンツは1か月に100回以上もコピーされていますし、それをきっかけにしたご相談もいただいています。

こういった事象を見るにつけ、「日本のB2B顧客もコンテンツを求めており、Web上で頻繁に情報収集を行っている」ということを実感しています。今回ご紹介したMarTech Series社のデータと同様の状況が、日本のB2B市場でも起きているのです。

あなたのWebサイトは寂れた店のようになっていないか

これはつまり、皆さんが既存の顧客と電話や対面で話をしているまさにその瞬間にも、今はまだ見ぬ多数の見込客がWeb上で情報収集をしているということです。そして、彼らは皆さんのWebページを見ても、欲しいコンテンツがないからと素通りしているかもしれないのです。

もし、皆さんの会社のWebサイトが、人通りの少ない裏通りに目立たない場所でただ店頭に商品のカタログを並べているだけの寂れた店のようになっていたとしたら・・・しかも店主が「通りすがりの客がいきなりウチの商品を買ってくれるわけがない」「こっちから売り込みに行かないと商売にならない」と言って、昔から付き合いのある顧客の方だけを向いていたとしたら・・・きっとWebを購買活動に有効活用している企業の購買担当者との接点は少ないでしょう。

そうなると「顧客の変化」は見えにくいですし、結果として今B2Bの世界に起こっている大きな変化が「他人事」であり「まだまだ先のこと」としか感じられないことになっているはずです。

もう「こっち側の話」なので、やってみるしかない

今回のトライツニュースでは、アメリカの調査レポートをもとにB2B顧客の購買活動の最新状況を確認しました。データはアメリカのものですが、「顧客は営業担当者と話すより先にWeb上でしっかりと情報収集し、購買活動の主導権を一貫して握るようになってきた」という変化は、日本のB2B市場でも確実に広まってきているように私は感じています。

これをわかりやすく表現すると、いよいよそのような変化が、自分達のいる「こっち側の話」になってきたということです。今までは米国や日本での一部の企業での話であり、それ以外の多くの企業にとっては「あっち側の話」として眺めていれば良かったのですが、もうそうではなくなってきてしまいました。

ただ、見方を変えると大きく競争要因が変わるチャンスだと言えます。資本がなくても良いコンテンツがあれば、日本中、世界中から情報を欲しがっている沢山の人が訪ねてきてくれる時代になりました。そのチャンスを活かすに必要なのは、アイデアと行動力。逆に要らないのは固定観念や思い込み、そして情報が不足している社内メンバーだけで何回も議論を重ねることです。

では具体的にどうするか?ということですが、そもそも自分達のいる「こっち側の話」になっているという自覚を持つことから始めなければなりません。そのためには、今の顧客のことを正しく知ることが不可欠になりますが、Web空間で情報収集している顧客のことを知るためには、自ら積極的にそこに出ていかないといけないということになるので、結局のところはさっさといろいろできることからやってみましょうということになってしまいます。

もう確実に「こっち側の世界」の話なんですが、いつまでも「やってみないとわからない世界」でもあるのが、一番難しいところです。

参考:「How to Champion B2B Social Selling and Deliver ROI」(MarTech Series, May 1, 2018)

投稿者プロフィール

角川 淳(つのかわあつし)
既存の営業の良い部分を活かし、現場に合わせて新しい考え方や道具を取り入れる「営業リフォーム」がコンサルティングコンセプト。事業の継続的な発展を支援します。
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