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デジタルネイティブ世代の登場がB2Bの購買活動を変える?!

デジタルネイティブ世代の登場がB2Bの購買活動を変える?!

4月も半ばを過ぎ、研修を終えた新入社員が徐々に職場に配属され始める時期になってきました。新聞にも「今年の新入社員は、SNSを駆使するチームパシュート型」(産労総合研究所)などという記事が載っていたのをご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、「ゆとり/さとり世代」に「氷河期世代」、懐かしい言葉だと「新人類世代」など、世代によって考え方や振る舞いに傾向が見られるというのは今も昔も変わらないようです。

そこで、今回のトライツニュースでは、「インターネットやSNSを駆使する若い世代が購買担当者になることで、企業の購買活動がどう変わるのか」ということについて、海外の調査記事を見ながら考えてみたいと思います。

海外調査レポート:デジタルネイティブ世代がB2Bの購買活動を変える

「世代によって考え方や行動の傾向が違う」というお話は洋の東西を問わないようです。Harvard Business Reviewの最近の記事「How Digital Natives Are Changing B2B Purchasing」では、幼いころからインターネットやスマートフォンに慣れ親しんだ20~35歳の世代を「デジタルネイティブ世代」と名付け、この世代がB2B購買担当者になったことで企業の購買活動が大幅に変化していることを、様々な調査データとともに紹介しています。面白い記事なのでお時間ある方はぜひ原文をお読みいただきたいのですが、ポイントを抜粋してご紹介します。

記事は最初に、B2Bの購買機能におけるデジタルネイティブ世代の影響力の高まりを解説しています。

Merit社の調査によると、企業における購買の意思決定にデジタルネイティブ世代の73%が関与しており、そのうちの1/3は自分ひとりで購買の意思決定を行っている。またGoogleとMillward Brown社の共同調査によると、B2B企業での商品・サービスのリサーチャーの約半分がデジタルネイティブ世代であり、その割合は年々高まっている。

変化1:購買プロセスの変化

記事は続けて、デジタルネイティブ世代の購買プロセスの進め方について、GoogleとMillward Brown社の共同調査とBain & Company社の調査データをもとに詳しく説明しています。

デジタルネイティブ世代の購買担当者は、新しい商品・サービスの購入を検討する際に、すぐに営業担当者に電話をかけたり面談を依頼するようなことはしない。最初にコンピューターやスマートフォンに向かって、特定の企業名や商品名ではなく「CRMソフト」のように一般的な用語で検索をかける。(中略)そのため、営業担当者がデジタルネイティブ世代の購買担当者と面談する際には、その企業の評判や商品の詳細情報、成功事例や失敗事例といった情報を豊富に手に入れており、(中略)すでにその企業に対して様々な観点から、自分としての考えを強く持った状態になっている。

上記の調査結果に続けて、記事では企業がオンラインコンテンツを充実させることの重要性を強く訴えています。

そのため、企業はオンラインコンテンツを継続的・意識的に管理せねばならず、加えて自社商品・サービスを使ってくれている企業に対してユーザー視点でのレビュー記事を書いてもらえるように働きかけなければならない。しかし、多くのB2B企業ではこのような取り組みが遅れており、オンラインでの存在価値を高めることよりもSalesforceの導入することの方にコストや手間を掛けている。

変化2:営業担当者に対する期待の変化

記事ではデジタルネイティブ世代が購買に関わることによる2つ目の変化として、「営業担当者に対しする期待の変化」を取り上げています。

サンタクララ大学の調査によると、50歳以上の購買担当者がビジネス上の利益性や成果にだけ目を向けているのに対し、デジタルネイティブ世代の購買担当者は営業担当者の信頼感や親和性、つながっているという感覚を大事にしている。

変化3:相手企業に求めることの変化

記事は最後に、デジタルネイティブ世代の購買担当者が相手企業に対して求めることの変化にも目を向けています。

Merit社の調査では、ミレニアル世代(訳注:2000年以降に社会人となった世代。デジタルネイティブ世代とほぼ同義)の80%は、購買の意思決定をする際に相手の企業が環境や社会、慈善活動などの貢献を果たしているかを重視している。

記事では続けて、環境活動や社会活動、慈善活動に力を入れ称賛されている企業の具体例を紹介しています。

歯科医療器具の販売会社であるHenry Shein社は、自社が取り組む慈善事業(訳注:Helping Health Happenというプログラムで、医療関連のNPOや慈善団体に対して活動支援や寄付金を行っている)に、顧客や業界企業を巻き込むことで、顧客とのかかわりを強固なものにしており、Fortune社の「世界で最も称賛される企業」に15年連続で選ばれている。

米国で起きているB2B購買活動の3つの変化まとめ

デジタルネイティブ世代によるB2Bの購買活動の変化について駆け足でご紹介してきましたが、まとめると以下の3点です。
1.オンラインコンテンツをもとにしっかりと情報収集することから購買プロセスをスタートする
2.信頼感や親和性、つながっているという感覚を営業担当者に求める
3.環境活動や社会活動、慈善活動といった観点でも相手企業を評価する

この3つの変化は、購買プロセスや営業担当者/企業の評価基準というような、B2Bの購買活動のあり方そのものに影響を与える大きな変化であると言えます。このような変化が、ITで世界を牽引し、より若い世代に権限移譲が進んでいる米国で起きているというのです。

顧客の次の世代交代も乗り切るために

日本でもこれまで、顧客の購買担当者も営業担当者もお互いに「新人類世代」から「バブル世代」へ、「バブル世代」から「氷河期世代」へと世代交代を重ねてきました。そのたびに、自分たちとは考え方や行動が違うと思いながら、相手に合わせるということをしてきましたし、それは今後も変わらないでしょう。

もしあなたの顧客の購買担当者が若いデジタルネイティブ世代に変わったとしたら、これまでと同様に合わせていかなくてはなりません。そしてそのような変化は5年先かも知れませんし、実は目の前に迫っているかもしれません。今回ご紹介した調査レポートで示されている3つの変化は、そのような来る将来に取るべき対応の指針/ヒントになるものだと思います。

参考:「How Digital Natives Are Changing B2B Purchasing」(Harvard Business Review, March 14, 2018)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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