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B2B営業で注目のAIツール、その傾向と対策を考える

B2B営業で注目のAIツール、その傾向と対策を考える

今や新聞でAIという文字を見ない日がないほどに、浸透してきているAI。ホームスピーカーなどでAIが身近な存在になっている、という人も多いのではないでしょうか。

B2B営業・マーケティングの世界でも、Salesforce社が独自AIプラットフォームのEinsteinを発表してから1年半。この間にAIを活用したさまざまな営業・マーケティングツールが世に出ています。

そこで、今回のトライツニュースでは、注目のAIツールをご紹介すると共に、活用できる組織になるために大切なことを考えてみたいと思います。

米国で話題のB2B営業・マーケティング向けAIツール

B2B営業・マーケティングの世界で注目のAIツールを調べていたところ、「Top 12 B2B AI Sales and Marketing Tools for 2018」という記事を見つけました。米国のマーケティング関連の記事で頻出のマーケティング・ツールが良くまとまっていますので、この中から特徴的なものをいくつか抜粋してご紹介します。

1つ目はターゲティングツールのNudgeです。これはSalesforceなどのCRMと連携するシステムで、営業マンのネットワークの中からターゲット客を評価分析して自動で抽出してくれます。加えて、CRMの履歴情報にEメールや電話の履歴、スケジュールソフトの情報を組み合わせて、最適なフォローアップのタイミングを算出してリマインドしてくれるというもの。誰にいつどうやって連絡するかを悩まずに済むのは助かりますね。

2つ目に紹介するのはSPIRO。これは営業のパイプライン管理をスマートに支援するAIツールです。営業マンが持っている商談を分析して優先順位を付け、いつどの見込客に対してコンタクトすればよいかのアドバイスもくれる、まるでバーチャルの営業アシスタントのようなサービスです。

3つ目はInsideSales。大量に蓄積された営業データを使って鍛えたAIが、営業マンの電話やEメールの内容と売上見込情報を分析して、どの見込客に何をすればよいかを提案してくれます。イベント勧誘などの施策に合わせて、もちろんEメールの文面も自動で作成してくれますし、電話で話をするときは原稿が画面に表示されます。ある意味、究極の営業自動化システムと言えるでしょう。

4つ目に紹介する電話営業のサポートシステムのCogitoはちょっと変わったAIツールです。これもInsideSalesなどのように電話営業をサポートするものですが、会話の内容をリアルタイムで分析してどのような口調・タイミングで話したらよいかというアドバイスをくれる、エモーショナル・インテリジェンス・ツールです。相手の感情を読み取って、より良い雰囲気になるようにAIがサポートするという面白いツールだと思います。

最後に紹介するのはAizimov。これはEメールの文章を自動で生成するAIツールです。特徴はターゲットのSNS情報を読み込んでそれを反映したカスタマイズ化された文章を作れること。そのため、営業以外に中途採用などの分野でも活用されています。ソーシャルセリングなど、SNS活用がB2B営業・マーケティングで当たり前になっている米国ならではのAIツールだと言えます。

記事には上記以外のAIツールも紹介されているので、お時間がある方はぜひオリジナル記事とリンク先の各社のHPや動画デモなどを見ていただければと思います。

具体的になってくると現実味を帯びてくる期待感と不安感

駆け足で紹介させていただきましたが、いかがでしたか。ターゲット客の選定や、フォローする顧客の優先順位付けにメール文面の作成など、営業をしているとどうしてもやらざるをえない煩雑な業務のうちかなりの部分が自動化されつつあるようです。

オリジナル記事の冒頭には「2017年は従来の”dumb“営業ツールから、AIを使ったスマートな営業ツールへの大転換が起きた」(dumbはスマートの対義語でどんくさい等の意味)とあります。これらのスマートなツールのいくつかは近い将来、日本のB2Bの営業現場でも使えるようになるはずです。

このように具体的に「〇〇ができる」と示されると、「それは面白いな」とか「使ってみたいな」という前向きな感想と共に、「そんなことまで自動でやられると、人間は何をするんだ?機械の指示通りに動くだけか?」というような意見も出てくるのではないかと思います。AIでできることが具体化してくることで、期待感だけでなく、自分たちの仕事への影響についての不安感も具体化、現実化してくるということです。

AIに仕事を奪われるのでなく、活かせない企業の存在価値がなくなる

しかしながら、現実的にこれから起ころうとしているのは、実のところAIに営業としての仕事を奪われてしまうというよりも、AIなどの生産性向上ツールを上手く取り入れることができず、非効率な仕事のやり方から脱することができない古い体質の企業が市場から退場を強いられるということのように思います。

今回ご紹介をしたAIツールはどれも人間の仕事を奪うということではなく、より仕事の生産性を高めるためにサポートしてくれるというものばかりです。上手く使いこなすことができたら、今よりも仕事の効率を上げることができそうです。

しかしながら、この「上手く使いこなす」というところで、古い体質の日本企業は壁に突き当たることになってしまうのではないかと感じています。それは「営業活動」について、人を軸に考えることが基本で、機能として分けて考えることが得意ではないからです。

例えばターゲットの優先順位をつけてくれたり、絞り込んだりしてくれる機能のデモを見た際、営業のトップの方は「経験の浅い営業担当者のためのものとしては有効」と捉えられることが多いでしょう。そして「ベテランには不要」と。

そこには「営業活動はそれぞれの営業担当者が自ら考えてやることが基本」という考え方が根強くあります。デキる営業担当者は営業機能として完結していて、そうでない営業担当者の「足りない能力をどう補うか」という課題意識なのです。従って、AIの機能はその面から評価されるということになります。そして「本来ならばこんなもの使わなくても自分でターゲット選定などできるべきなのだが・・・」というあまりポジティブではない気持ちを持つことになりがちです。

また、必要性を議論する中で、「そんなシステムを入れるよりもそもそもスキル教育をすべきでは?」などというような話になったりして、なかなか意思決定に至らないということも多いでしょう。

かたやWebの新しいテクノロジーやAIツールなどをどんどん取り入れて、営業活動全体の生産性を高める企業。かたや営業担当者に「もっと自分で考えて売れ!」と言って管理を厳しくするばかりの古い体質の企業。企業としての力の差が広がるのは明白ではないでしょうか。

これらの差は、営業活動を「人」を軸に考えるという、従来からある考え方に起因しているのです。

AIツールに関する議論が営業を機能として考えるきっかけに

Webの進化で顧客の購買活動が変わり、B2Bの世界でも新規の顧客発掘や、数多くの顧客に対する興味付け、商談発掘などはWebの方が効率的になってきています。これは「営業活動=営業担当者の活動」ではなくなっていることを意味します。

そんな中で、新しいテクノロジーをどう取り込み、どうやって生産性を上げていくかということをデザインする「営業企画」の役割がとても重要になってきているのは、これまでのトライツニュースでお伝えしてきた通りです。

今回ご紹介をしたようなAIツールはどれもわかりやすく、インパクトのあるものです。社内でこれからの「営業を企画する」役割の方々で集まり、これらのツールについて意見交換をしてみるというのはいかがでしょうか。

その際、「自社の営業担当者に必要か?」と考えるのではなく、「自社の営業機能の生産性を高めるために必要か?」と考えることができれば、今までと違った考えが導き出せるように思います。

そのような議論の積み重ねが、組織として営業を機能で考えることにつながり、やがて日本にやってくるAIツールを味方にできる企業に変わっていくことになると考えています。

AIは怖いものでなく、いかに使いこなすかが重要なのです。

参考:「Top 12 B2B AI Sales and Marketing Tools for 2018」(Nudge, Feb 8, 2018)

投稿者プロフィール

角川 淳(つのかわあつし)
既存の営業の良い部分を活かし、現場に合わせて新しい考え方や道具を取り入れる「営業リフォーム」がコンサルティングコンセプト。事業の継続的な発展を支援します。
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