人材育成

2018年は営業教育への再投資が始まる?

2018年は営業教育への再投資が始まる?

皆さんは自社で行っている営業向けの研修に満足しておられるでしょうか。

ある年代以上のベテラン営業担当者の方々は、若い頃にいろいろな知識教育やロールプレイングなどの実習も経験されている方が多いように思います。それに対し、中堅以下の営業担当者はそのような経験が乏しく、実は若い営業担当者であればあるほど「叩き上げ」の人が少なくありません。

そんな中、最近改めて営業向け教育のニーズが高まっているとも感じています。厳しい競争の中で勝ち残るためには個々の営業の力を高めないといけないという意識からのようですが、結果につなげるためにはどのように考えて営業の教育に取組めばいいのでしょうか。

今週のトライツニュースでは、営業の教育について米国でちょっと興味深い記事を見つけましたので、これを題材にしてこれからの営業教育について考えてみたいと思います。

営業組織は縮小するにも関わらず教育投資?

HubSpot社というインバウンドマーケティングのプラットフォームを提供している会社のブログの中に「The Top 4 Sales Enablement Predictions for 2018」という記事があります。ここでは2018年のセールス・イネーブルメントの次の4つのトレンドを紹介しています。

1)CRMは「あったらいいもの」ではなく「なくてはならないもの」に
2)AIはより多くの営業プロセスを担うように
3)営業教育への投資が再開
4)営業組織の規模が縮小

1)と2)に関しては、既にいろいろなところで言われていることです。我々が消費者としてAmazonで買い物をする際、購買や閲覧の履歴からオススメを提示してくるように、CRMを活用してB2Bでももっと顧客情報を活用した効率の良いアプローチができるようになったり、AIが24時間お問い合わせに自動対応をしてくれたりとテクノロジーの活用が益々進むということです。

これに対し、私が興味深いと感じたのは、3)と4)です。営業組織が小さくなるのに、そこで働く営業担当者への教育が進む?どういうことでしょうか。

米国でも今の営業に合った研修やコーチを見つけるのは難しい

3)の記事を翻訳したものを以下に示します。

3)営業教育への投資再開

2008年の景気後退以降、営業教育は営業予算のうち真っ先にコストカットされるものの1つでした。その時はコスト削減の手段として各社は実施しましたが、年月が過ぎた今でも多くの企業は営業研修やコーチングに予算を戻すことを拒んでいます。

営業リーダーの中には、営業研修やコーチングを自分のチームメンバーに受けさせることを必須だと考えていない人もいます。

しかし、そのようなリーダーは売上の低下や、営業力の低い担当者の増加、高い転職率に直面することになるかもしれません。現在の営業は、継続的なマーケットの変化と新しい営業戦略の登場が起きており、進化し続けています。それに加え、「営業担当者は研修を受けてから1か月後には学んだことの80~90%を忘れてしまう」というデータもありますので、自信があり生産的でかつ効率的な営業組織を作るには継続的な研修とトレンドを押さえておくことが欠かせません。

多くの営業リーダーは、営業研修やコーチングが必要だと考えていますが、新しい営業の環境に合った手法を持った研修講師やコーチを見つけることに苦労しています。もしあなたもその一人なのでしたら、どうか諦めないでください。今の営業に適した研修やコーチを見つけるには時間がかかるでしょうが、今の時代に合った講師やコーチが皆さんの営業チームに与える影響は計り知れません。

2018年は、従来通りの営業手法にこだわって新しい営業プロセスや営業手法にアップデートしないチームは、他社から大きく後れを取ることになり、苦労することになります。研修や革新的な営業コーチングに時間と費用を捻出できる営業リーダーは、大きな利益を手に入れられるでしょう。

これをお読みになられてどのようにお感じになられたでしょうか。

私は興味深いと思ったところが2つありました。1つ目は米国でもリーマンショック以降の営業教育に関するコストがカットされたままで、戻っていないということ。2つ目は、営業トップが営業教育をやろうとしても、今の新しい営業環境に合った教育をしてくれる人がいないということです。

教育に関するコストが戻っていないということは、何でも合理的に考える彼らのことですから、そこまで必要性が高くなかったということなのだと思います。以前のような教育投資をしなくても、これまではやってこれたという見方ができるでしょう。
しかし、これからはそうはいかない。教育をしないとどんどん他社から遅れていくと記事では述べられています。

ただ、実際に教育をしたいと考えると、適切なパートナーを見つけるのに苦労するとのこと。あれだけ次から次へと新しいコンセプトやテクノロジーを生み出し、セールスやマーケティングの分野では完全に何歩も日本の先を進んでいる米国なのに、それに合わせた教育を提供してくれる人がいないとは驚きです。

今の時代に合った営業にアップデートするための営業教育

ではこれらについて日本ではどうでしょう。リーマンショック以降、営業に関する教育投資が鈍ったままの企業が多いというのは同じではないでしょうか。

しかし、「新しい営業の環境に合った手法を持った研修講師やコーチを見つけることに苦労している」という話はあまり聞きません。それはそもそもの話として、「営業の環境」が変わっているという意識が薄く、「こんな営業にしたいので、こういう教育がしたい」という意思が明確ではないことに起因しているように感じます。「成果の上がらない営業の底上げ」や「中間層のレベルアップ」あるいは、「目新しいテクニックを学ぶ」などを狙いとし、知り合いの研修会社からいくつか提案をしてもらって、良さそうなものを選ぶということになっていることが多いでしょう。

これに対して先程の引用の最後に記載されているように、米国で営業教育に改めて投資しようと考える狙いは「新しい営業プロセスや営業手法にアップデート」することなのです。

それをサポートしてくれる人選びには慎重になるでしょうし、苦労するというのも理解できます。そして、必要とされる新しい営業組織は以前よりも縮小したものになるとの考え方なのだと思われます。

何のための営業教育なのか、そこから考えよう

さて、皆さんがもし営業教育が必要だとお考えでしたら、それは何を狙ってのことでしょうか。

既存の組織、従来の営業のやり方を前提としてその底上げをすれば良いのか、あるいは新しい営業の環境に合わせて大きくアップデートする必要があるのか。その判断はとても大切なことなのです。

もちろん、これはどちらが正解というというものではありません。ただ、今の営業組織のパフォーマンスだけを見るのではなく、顧客がどう変わってきているのかから考えてみる必要があると思っています。

もし、あなたがこれからの営業教育についてお悩みでしたら、お気軽にご相談ください。

参考:「The Top 4 Sales Enablement Predictions for 2018」(Hubspot, 2017 Jan 04)

投稿者プロフィール

角川 淳(つのかわあつし)
既存の営業の良い部分を活かし、現場に合わせて新しい考え方や道具を取り入れる「営業リフォーム」がコンサルティングコンセプト。事業の継続的な発展を支援します。
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