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吉野家の牛丼と言えば、「うまい、安い、早い」です。ちなみにこのコンセプトはこれまで何度か並び方が変わっていることをご存知ですか?

今回のトライツブログでは、この吉野家のコンセプトを元にして、営業としてとても大切な「スピード」について考えてみましょう。

時代の変化に合わせて変わってきた吉野屋のコンセプト

吉野家の牛丼は私の好物の一つです。狂牛病騒ぎの時は食べられなくてとても悲しい思いをしたことを覚えています。
さて、その吉野家のコンセプト「うまい、安い、早い」ですが、創業時は「うまい、早い」だけだったそうです。それが1970年代に入って「早い、うまい、安い」になりました。この当時のCMで「やったぜパパ!明日はホームランだ!」というのを覚えておられる方も少なくないでしょう。当時は「早い」が最初に来ていたのです。ファストフードなどという言葉が一般的でない時代に、「早い」ことを売りにしたビジネス展開をしていたわけです。

そして1980年代から1990年代は「うまい、早い、安い」になり、2000年代になって「うまい、安い、早い」になりました。「早い」がどんどん後ろになっているのがわかります。
そして2010年代に入ってからはメニューが大幅に増え、「うまい」を更に追求しているのは皆さんご存知の通りですね。
今となっては「早い」は吉野家にとって差別化要因というよりも、当たり前のことになっているような感じがします。

営業においても「うまい、安い、早い」は同じ

さて、この吉野屋のコンセプトである「うまい」「安い」「早い」という3つの要素はB2B営業においてもとても大切なことです。「うまい」は「美味い」ではなく、「上手い」や「巧い」と考えればいいと思います。顧客のニーズに合わせた巧みな提案、上手く考えられた顧客対応、わかりやすく上手い説明というようなイメージです。

リーマンショック以降、とにかく価格が重視された時は「安い」が求められました。当時は現場から「安い」がないと話すら聞いてもらえないという声をよく聞いたことを覚えています。
今でももちろん「安い」は重要なファクターですが、ソリューション営業やコンサルティング営業などと、営業において付加価値の高い対応が求められ、その質が競争優位になってきています。「うまい」の優先順位が上がってきていると言えるでしょう。
このように吉野屋のコンセプトの並びの変化とは少し違いますが、営業においても時代の変化に合わせてこの3つの要素の順番が変わってきているように思います。

B2B営業における「早い」の意味とは

そんな中で、「早い」については皆さんどのように考えられるでしょうか?
食事をする時間に余裕のないお客さんのニーズを満たすためには、料理を早く出すというのはとても大切なことです。それに対し、B2Bの営業においては闇雲に提案書を早く出したからと言って必ずしもお客さんに喜ばれるわけではないでしょうし、採用してもらえるものではないでしょう。

しかし、「早い」を「スピード感のある顧客対応」という視点で考えてみると、それは重要なことになります。サンプルや必要なデータを早く提供するとか、質問や問い合わせに迅速に応えるというのは顧客の意思決定プロセスを早く進めることにつながるからです。「顧客をお待たせしない」というのは当然のこと、「顧客をリードする」ためには「早い」というのはとても大きな意味を持ちます。

また、長年の付き合いの中で、「あの会社はすぐに対応してくれるから」と認知されると、顧客が時間に余裕のないときに優先的に連絡してもらうことにつながり、明らかな差別化要因になるのです。

「早い」はどれだけ会社として顧客の方を向いているかのバロメーター

ちなみにこの「スピード感のある顧客対応」というのは、営業担当者だけで実現するには限界があります。なかなか動いてくれないバックヤード、社内資料の作成ばかり要求してくる管理部門など足を引っ張る要因が沢山あると、営業担当者がどれだけ頑張っても実現できません。
ただこれは見方を変えると、「うまい」や「安い」よりも社内のルールを決めたり、組織役割を見直したりすることで、比較的簡単に改善できるものなのです。逆に社内都合を優先させるとどんどん悪化するものでもあるということです。
そう考えると、「早い」かどうかは、営業だけでなく、会社としてどれだけ顧客の方を向いて仕事をしているかのバロメーターでもあると言えます。

改めて「早い」の重要性を考えてみよう

「時間は全ての人に平等である」というようなことが言われますが、その時間を顧客のために有効に使っていたり、顧客の時間を大切に考えている企業は顧客から選ばれるものです。

自社だけでなく、顧客にとっても貴重な時間を無駄にしないためにも、自社の顧客対応のスピードについて、改めて考えてみてはいかがでしょうか。
SFAなどのITツールも情報共有や報告資料作成用として考えるだけでなく、顧客対応のスピードアップという視点で考えると、新たな活用が見えてくると思います。

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