マーケティング

身近になってきたB2Bでのマーケティング予測分析:導入への第一歩

身近になってきたB2Bでのマーケティング予測分析:導入への第一歩

ドラえもんのタイムマシンや、バック・トゥ・ザ・フューチャーなど、漫画や映画、小説の中で「未来を知る」と言うテーマはたくさん出てきます。子供のころに「自分は将来どうなっているんだろう」と空想にふけったことがあるのは私だけではないと思います。

この未来を知りたい、と言うのはビジネスの世界でも同じだと思うのです。
これから会うお客様は将来自社から買ってくれるのか、今度のキャンペーンは成功するのか、未来を予測することができればどれほど仕事が楽になることでしょうか。

今回のトライツニュースでは、B2B営業・マーケティングにおける「予測技術」についてご紹介します。

調査レポート:普及が進むマーケティング予測分析の成果が実証!

B2B営業に関して様々な専門家が調査記事や最新のレポートを掲載するアメリカのニュースサイト、Digital Commerce 360 に面白い記事がありました。タイトルは「Predictive marketing analytics boost B2B sales」。マーケティング予測技術がB2B営業を加速する、というこの記事の中に興味深いデータが見つかったのでご紹介します。

「マーケティング予測分析(Predictive Marketing Analytics、以下PMA)」という耳慣れない言葉がありますが、これは社内にある顧客情報やマーケティング情報、販売情報を統合して分析することで、各種マーケティング施策の投資対効果や、販売につながる見込客を予測するというもの。CRMやMAのシステムと連携させたり、そのアドオンとして利用する技術/システムです。最近は日本のB2B企業にもSalesforceなどのCRM/SFAの導入が進み、MAツールも徐々に普及しつつありますが、それがずっと先に進んでいるアメリカのB2B企業では実に61%の企業が導入している注目の技術です。

これまでは、「PMAという新しい技術がありますよ」という内容の記事ばかりだったのですが、この記事で私は初めて「PMAによる効果データ」を目にしました。なんと、InsightSquared社においてすべての見込客のうちPMAシステムから生成された15%の見込客で、売上の80%を稼いでいたことが分かったとのこと。よく言われる「20:80の法則」がぴったり当てはまっています。

これまで「最新技術でこんなことができるんですよ」ばかりだったPMAについて、売り手側にも買い手側にも追い風となるデータとなることでしょう。現在は、日本でも複数の企業で統計サービスのオプションとして販売されていますが、近い将来には、そのまま使える業務ソフトとして日本にも展開されるのではないかと私は思います。

B2Cでは当たり前のPMAがB2Bにもやってくる?

このPMAという技術、耳にすることはなかったかもしれませんが、B2Cの業界においては15年以上前から当たり前に運用されていました。特にクレジットカードなどの金融サービスでは、どのお店でどんな商品を買ったのかという販売情報や、利用者の年齢・性別以外にも年収や持ち家の有無などかなり立ち入った個人情報を持っています。そのため、販売情報と個人情報を組み合わせて顧客セグメントを作り、セグメントごとにマーケティング施策への反応率や、年間の収益額を予測分析するということを当時から当たり前に行っていました。

この技術がアメリカのB2B業界で普及するようになった要因として、先に触れたようにCRMやMAの導入が進み、社内に多くのデータが蓄積されるようになってきた、ということが大きいと思われます。B2B企業の多くではクレジットカード会社のように勝手にさまざまなデータが蓄積されていくということはないので、そのような環境が整うまではハードルが高く、なかなか普及が進まなかったのでしょう。

PMA導入を阻む日本企業の「データの壁」

このような最新のシステムを見て思うのが、これを日本の企業で活用する際に直面する「データの壁」です。

これらのシステムは顧客情報がそこで働く個人の情報も含め、整った形でデータベース化されていることが大前提になります。正しく「現在の情報」がデータ化されているからこそ、「予測」ができるのです。

しかし、私はクライアントの顧客データをお借りして分析をすることがあるのですが、そこですぐにいろいろな分析ができるようデータが適切に「正規化」されていることは本当に稀なことだと感じています。

例えばある大手企業に対して複数の窓口を相手に取引している場合、その請求先ごとの顧客データは整備されており、請求業務は間違いなく行われるようになっていても、いざその企業全体の売上を集計しようとすると、そのためのコードが整備されていないので、わざわざ手作業で名寄せしないといけない、というようなことが少なくありません。従って、重点顧客のマーケティング戦略をマネジメントしようとすると、毎月皆で手分けして膨大な残業時間を投入し、データ作成をしなければならなくなったりするのです。

きちんと置き場所を決め、ルールを皆で守ればもっと効率的に仕事ができるのに、道具は使いっぱなし、資材管理も適当で、いつも誰かが何かを探している。そして月末になると残業して片付けをしないといけない。そんな効率の悪い工場のようになってしまっているように思います。

そんな状況ですから、仮に今日ご紹介したような新しいサービスを「無料でお試しいただけます」とPRされても、いざやってみよう!とすると最初の一歩で躓いてしまうでしょう。

今の社内データを諦めていませんか?

これまでもトライツニュースでお伝えしておりますように、米国を中心にB2Bの世界でIT活用はどんどん進んでいます。遅ればせながら、日本企業でも注目が集まり始めている変化を感じています。

しかし、ほとんどのB2B企業では残念ながらそのような新しいツールを導入できる段階にないというのが現実なのです。社内にあるデータはバラバラでツキハギだらけ。それをExcelを使って毎月手作業で必要なデータに加工していたりします。そしてそれを誰も大きな問題だとは感じていません。

もう少し何とかなりそうだけど・・・自分だけでは何ともならないし、仕方のないことと諦めてしまっているように感じます。

そこで皆さんにぜひオススメしたいのが、「社内データの見直し」です。これはとても地味なことですが、大規模な投資をしてシステムを入れ替えることまでしなくても、顧客や売上に関する社内データを整理するだけでルーチンの資料作成時間を大幅に削減できる、非常に効率的なアプローチだと思います。

まずは社内データに対する作業時間の削減から取り組もう

今回ご紹介した技術はB2Cでは当たり前になっている「予測」をB2Bの世界に導入し、目に見える成果を出しているというものでした。

「予測?そんなのできるわけないでしょう。だって、現状把握すらなかなか正確にできないんだから・・・」そんな風に思ってしまうとそこでオシマイです。

千里の道も一歩からと言います。まずは現状を把握するために投入している「作業時間の削減」に取り組んでみてはいかがでしょうか。

それができると、きっと次のステップが見えてくるように思います。

 

Predictive marketing analytics boost B2B sales」(Digital Commerce 360 by Bill Briggs, June 26, 2017)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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