マーケティング

さらばガラパゴス化!B2Cから学ぶB2Bの進化の可能性

さらばガラパゴス化!B2Cから学ぶB2Bの進化の可能性

先日、私が新卒で入社した会社の先輩二人と一緒にランチをする機会がありました。具体的な社名は出せませんが、一人は現在広告代理店でプランニングをしていて、特にB2Cマーケティングに関する最新テクノロジー情報が集まってくる部署だそうです。もう一人はECサイト向けのシステム販売からマーケティング支援のコンサルティングをしており、二人ともB2Cマーケティング業界にどっぷりと浸かっています。

そのため、話題は当たり前のように最近のB2Cマーケティングのトレンドや最新テクノロジーになるのですが、そこで大変ショックを受けました。二人が話していることがチンプンカンプン。こうやって定期的にトライツニュースを書き、そのために国内および海外のB2Bマーケティングや営業のトレンドや最新テクノロジーを勉強してきているつもりなのですが、まったく分からなかったのです。

「B2C市場ではチャットボットなどAIの活用は当たり前、どんどん価格が安くなっており普及期を迎えている」
「店舗マーケティングでは、超音波ビーコンを使ったO2Oプログラムの事例がいくつか出てきた」
「この間、海外の展示会で立体ホログラフィックディスプレイの活用例を見てきた」
などという話を聞きながら、B2C市場が技術的にはるかに先行していることを痛感するとともに、率直に「マズイ!いつの間にかB2B市場しか勉強しないようになっていた!」と、自分が進化を止めてガラパゴス化してしまったかのような危機感を強くおぼえました。

最新テクノロジーの活用でB2Cの後塵を拝するB2B

私の勉強不足の件については後でじっくり考えることにして、なぜ最新テクノロジーの活用という面でB2Bマーケティング業界はB2Cの後塵を拝するようになってしまっているのでしょうか。そこには、以下のようなB2Bマーケティング業界の特性が大きな影響を与えているものと思われます。

特性①:売り手から見たマーケットとしての魅力

1つ目の特性は、最新テクノロジーの売り手としてのメリットに関するものです。同じマーケティングプログラムを採用しても、B2C企業とB2B企業とではその金額は大きく異なります。B2C企業の方が対象となる顧客や見込み客が圧倒的に多いので、売り手にとってはB2C企業の方がはるかに魅力的に映ります。また、B2B企業の場合、競合企業が導入したプログラムやシステムを導入することを嫌いますので、1社に導入してもなかなか裾野が広がりにくいという傾向もあります。

特性②:買い手から見たメリット

2つ目の特性は、テクノロジーを買う側の立場のメリットに関するものです。一般に、新しいシステムやテクノロジーを導入するメリットとして、効率化や省力化・省人化が挙げられます。たとえばB2C企業の場合、ガソリンスタンドのセルフ化やレジの自動化などの取組が進んでいます。その理由の1つとして、店頭で働く従業員には非正規雇用者が多いため、比較的柔軟に雇用数を調整できるということがあるでしょう。

これに対して、B2B企業でマーケティングや営業を効率化すると、正規雇用の従業員をどうするかという問題が出てきます。相当な問題がないかぎり辞めてもらうわけにはいきませんし、ベテランになればなるほど配置転換にかかる教育コストもかかってきます。そのため、B2B企業の場合、特にマーケティングや営業分野ではB2C企業ほど最新テクノロジー導入によるメリットが出にくいように思われます。

特性③:買い手にとってのリスク

最後に、買い手にとってのリスク許容度という特性があります。業種によってずいぶん違ってきますが、一般にB2B企業にとっての得意客1社の重みと、B2C企業にとっての得意客1人の重みには違いがあります。一般に、B2C企業にとって得意客が1人そっぽを向いたからといって会社が傾くようなことはまずありません。何千人、何万人という得意客がいて随時それが更新されているという構造になっているので、最新テクノロジーの導入で1人の得意客を失ったとしても、新しく2人の得意客を発掘できればそれで問題ないということになります。

しかし、B2B企業の場合、得意客1社が離れてしまうと大打撃です。売上の多くを数社の上得意客に依存しているという会社も決して少なくはなく、その得意客を失うことはまさに会社の死活問題となります。このような状況では、最新テクノロジーを導入して効率化しましょう、という話にはなりにくいものです。その上得意客に万一のことが決してないように、担当チームで手厚くフォローしようということになることでしょう。

変わりつつある潮目、最新テクノロジーを無視できない時代になってきた

このように見てみると、売り手にとっても買い手にとってもメリットが大きくないため、B2B企業ではマーケティングや営業に最新テクノロジーが導入されにくい。つまり、B2B市場は特にテクノロジーという点においてガラパゴス化しやすい傾向があることが分かります。では、最新テクノロジーについてまったく目を向けなくて良いのかというと、それは違うように思います。

ここ数年のSalesforce社の日本市場での拡大は目覚ましいものがあります。これを単純にCRM・SFA市場の拡大と捉えるのではなく、B2C市場で活用が進んできたAIや統計技術という大波が、高い参入障壁を超えて日本国内のB2B市場へと勢いよく流れ込んできた、という観点でも見る必要があると思います。そしてこの大波によってCRM・SFA市場の様相は一変し、AIへの対応が不可欠になりました。最新テクノロジーの普及により市場のルールが変わってしまったのです。

このように、最新テクノロジーの中には高い参入障壁を超えて、B2B市場で普及・展開するものがあります。そして、最近のB2B企業各社の状況を見ていると、以前とは潮目が変わりつつあるように感じます。多くの企業がSalesforceやMAなどのような最新テクノロジーを搭載した商品・サービスに積極的に対応しようとしています。このことはつまり、最新テクノロジーについて我関せずと知らんぷりをしたままだと、自分たちだけがガラパゴス化してしまうということを意味します。

B2Cのトレンドやテクノロジーの中に、B2Bの進化のヒントがある!?

普段、クライアントと話をしていると「ウチの業界は特殊だから」と、B2Bという壁に加えて自分たちの業界という壁に囲まれ、2重にガラパゴス化してしまっているように感じることがあります。トライツは外部の支援者という立場を活かして、その業界の慣習という壁を飛び越えることをお手伝いしています。また、海外の事例なども広く集めてトライツニュースの中で紹介してきました。

自分としては、「業界の壁」や「国・地域の壁」といった意識の壁を飛び越えるサポートをしてきた気がしていたのですが、B2C業界で活躍している昔の上司2人と久しぶりに食事をしたところ、お釈迦様の手の上の孫悟空よろしく「B2Bの壁」の中に囚われている自分に気付くことができました。

この気付きは決してネガティブなものではなく、「B2C市場のトレンドやテクノロジーの中には、B2B市場の進化に役立つものがありそうだ!」という可能性を意味しているようにも感じました。この気付きを踏まえて、今後のトライツニュースではB2Cのトレンドやテクノロジーもご紹介しつつ、併せてB2Bへの影響や活用の仕方を考えていきたいと思います。どうぞご期待ください。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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