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注意しよう!事例紹介ツールの落とし穴への傾向と対策

注意しよう!事例紹介ツールの落とし穴への傾向と対策

営業活動において、商品やサービスを紹介すると、必ず顧客から求められるのは「具体的事例」ではないでしょうか。その商品やサービスの持つ価値を理解するために、実際のところはどうなのか、使っている顧客はどう感じているのかなど、具体的な事例を知りたいと思うのは当たり前のことのように思います。

そこで、「具体的事例」をPowerPointでまとめて「◯◯事例のご紹介」というのを作っておられることが多いのですが、実はこのアプローチには大きな落とし穴があります。今回のトライツニュースでは、この「事例の上手い活用方法」について一緒に考えてみましょう。

事例は何のために語る?

「商品やサービスのカタログだけではイメージが湧かないと言われる」そんな現場の声に答えるようにして作成される「◯◯事例のご紹介」。ある企業がどんな課題を抱えていて、それにある商品を導入することで、どのような効果があったかなどがキレイに整理されているものが一般的な、よくある営業ツールの一つです。

確かに商品の説明だけを聞くよりも、具体的に活用しているイメージなどを知ることができるので、顧客に関心を持ってもらいやすいでしょう。「商品やサービスの紹介だけでなく、実際の事例を知りたい」という顧客の要望にはしっかりと応えることができます。

ただ改めて考えてみていただきたいのですが、あなたやあなたの部下がその営業ツールを使って自信を持って事例をお話した後、顧客はどんな状況になっているでしょうか。

実は説明する側は意識していなくても、事例の話を聞いた後、受け手側は「Yes or No」を求められると感じています。単に「いかがでしょうか?」とオープンに事例についての感想を求めただけでも、「こんなこと御社でもやりませんか?これ買いませんか?いかがですか?」と迫られていると感じるようです。従って、結果として「事例紹介」ということをやりながら、その事例に入っている自社商品・サービスを売り込んでいるということになるのです。

事例紹介という名の売り込みは商談を終わらせる

事例紹介とは顧客に的確に売り込むためのものであると考えると、それでも問題がないと判断できるかもしれません。顧客の関心の有無を知ることができるので、積極的にやっていきたいと考えるマネージャは多いように思います。

しかし、仮に相手がその事例に多少なりとも興味があったとしても、その時の顧客の頭の中には今期使える予算とか、上司に提案した時に返ってくるであろう発言とか、社内で意思決定するための面倒な手続きとか、いろんなことが頭の中に浮かんでいるはずです。価格が高いものであればあるほど、その傾向は強いでしょう。

それら購買に立ちはだかるいくつもの壁に対する整理がついていないところで「いかがですか?」と言われてもうかつなことは言えず、結果としてぼんやりした反応しかできないということになってしまいます。それで購買の意思ありと判断し、次回に立派な提案書を持参したら、顧客のノリが悪くて「???」となるなどということは少なくありません。

そんな状況に対して、
「そこを上手く聞いてくるのが営業のスキルだろう」
「ウチの営業はそこで顧客に踏み込まないからダメなんだ」
それは明らかに正論なんですが、だからと言って「しっかり本音を探ってこい」と言われても、最初からセンスのある人や多くの場数を踏んだ人以外にはなかなか簡単にできるものではないのも事実です。

結果、一方的に事例の書かれた資料を読み上げ、顧客に「Yes/No」を迫ってしまうことで、顧客の気持ちが動くことはなく、せっかくの商談を終わらせることになってしまいます。これでは商品カタログだけで売り込むことと何も変わらないのです。

事例紹介はお互いの考えを披露し、関係を構築するためのきっかけ

では事例を話すことは意味がないのでしょうか。

事例を上手く活用している人の話し方を見ていると、実はそこには一つの共通点があるように思います。それは事例を話した後に「自分の見解」を述べるということです。

「私はこの事例が成功した要因は3つあると思います」
「この事例が適合する企業の特徴は次の2点と考えています」
「このような事例に取り組む企業が注意しないといけないことは◯◯です」
「この事例を御社に置き換えると、考慮すべき点は△△だと思います」
などと自分の考えを述べることで、顧客から「そうなんだよね」とか「ウチの場合は違うな」などと相手の考えを聞くことにつながるように工夫しています。そして、それをきっかけにして顧客の話をいろいろ聞いていくのです。

ではその「自分の見解」も含めて事例の資料の中に入れてしまえばいいじゃないか・・・そう考えてしまうかもしれませんが、実はそこがなかなか加減の難しいところなのです。資料の中に入れてしまって、それまで含めて一気に説明し「いかがでしょうか」とやってしまうと意味がなくなってしまうからです。

大事なことはその事例に対する自分の見解を述べるからこそ、相手も自分の考えを話してくれるという関係づくりです。事例の資料はそのきっかけづくりのためのツールに過ぎないのです。

事例活用マニュアルとロープレで「技を磨く」

事例の資料をネタにし、そこには書いていない自分の考えを語る。当然のことながら各営業担当者が勉強して自分の考えを持つのが理想ですが、それをサポートするために事例の資料を作成した人が別途「事例活用マニュアル」を作るようにすれば良いと思います。

そこには事例の資料に書いていないことで、顧客に興味を持たれるような「コツ」や「ポイント」「成功/失敗要因」などが記載されており、それをネタに顧客に興味付けできるようにするわけです。

ただ、このようなことをお伝えすると、「ウチの営業ならそのマニュアルまでコピーして客に渡してしまう」などとおっしゃる方がいらっしゃいますが、それは顧客とのコミュニケーションに対する問題意識が低いことに原因があるので、ツールだけを整備してもなかなか解決しません。社内でビデオカメラを使ったロールプレイングを行い、自らの顧客とのコミュニケーションを客観的に見ることで、問題に気付くような機会をつくるようにすることから始める必要があります。それも1度だけでなく、継続して実施することで、営業としての「技を磨く」ように促していくことが望ましいと思います。

このように日々、こうするのが「当たり前だ」と思っている営業行為にも実は落とし穴があるものです。あなたのメンバーの「事例紹介」は上手く機能しているか、一度点検してみてはいかがでしょうか。

投稿者プロフィール

角川 淳(つのかわあつし)
既存の営業の良い部分を活かし、現場に合わせて新しい考え方や道具を取り入れる「営業リフォーム」がコンサルティングコンセプト。事業の継続的な発展を支援します。 →See more info
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