営業戦略

商談は「プロジェクト」だと思ってマネジメントしてみよう(後編)

商談は「プロジェクト」だと思ってマネジメントしてみよう(後編)

B2B営業では、営業からはただの「商談」にしか見えなくても、顧客にとっては何らかの「プロジェクト」であることがあります。例えば、TV会議システムの商談は顧客から見ると「業務効率化プロジェクト」であり、SFA導入は「営業改善プロジェクト」になるでしょう。そうなると、当然のことながらこれらの商談が前に進むためには、顧客のプロジェクト自体が前に進まないといけません。

前回のトライツニュースでは、ある原料メーカーが自社商品の紹介・提案を中心とした営業スタイルから、顧客の商品開発プロジェクトにおける課題解決やプロジェクト全体のリードまでおこなう「プロジェクトマネジメント型営業」へと営業スタイルを転換し、成果を上げた事例をご紹介しました。

今回のトライツニュースでは、なぜ「プロジェクトマネジメント型営業」への転換を成し遂げることができたのかについて考えてみたいと思います。

顧客のプロジェクトはより「長期化・複雑化」している

この原料メーカーでプロジェクトマネジメント型営業が重要になってきた背景には、顧客のプロジェクトに対する取り組み方や、社内での意思決定の仕方の変化がありました。

実際に事例で取り上げた原料メーカーの顧客である大手消費財メーカーでは、以前は課長クラスが新商品の発売を決めていたのですが、今では部門会議での承認と役員会議での決裁を通らないと新商品が発売できなくなっています。例外もあるでしょうが、意思決定がより慎重に、面倒くさくなっている、言い換えると意思決定プロセスが長期化・複雑化している現象は多くの日本企業で起きているように思われます。

この原料メーカーでも、このような顧客の意思決定プロセスの長期化・複雑化に伴って、プロジェクトが途中でスピードダウンしたりボツになったりすることが増えてきました。そして難航するプロジェクトを前に進めるために積極的に顧客のプロジェクトに関与する「プロジェクトマネジメント型営業」が必要になってきたのです。

営業現場が陥りがちな「思考のブレーキ」

しかし、実際の営業現場では積極的に顧客のプロジェクトに関わろうと思っても、実行に移すのはなかなか難しいものです。

顧客の長くて複雑な意思決定プロセスに関わっていくと、面倒な仕事も出てきますし、顧客の社内事情に振り回されてしまうこともあります。そんなときには、
「むやみに首を突っ込んだら、やることがいろいろ出てきて大変」
「お客さまに頼まれてもいないのに勝手に動くのは失礼」
「手伝ってもどうせ社内で評価されない」
などと周囲から言われたり、そのような言い訳を思いついたりして自分自身にブレーキをかけてしまいがちです。ここでのポイントは、決して顧客から止められているのではない、自分自身でブレーキをかけているということです。

そして、このように一度ブレーキがかかってしまうと、そこから先のことは考えられなくなってしまいます。面倒くさい用事だなと思っているうちに、いつの間にか意識の中から消えていてやるのを忘れてしまっていた、という経験は誰にもあるでしょう。これと同じように、「面倒だな」「やりたくないな」と思っていると、それについてこれ以上考えるのをやめてしまう、言い換えれば思考にブレーキをかけてしまって「具体的にどんな手伝いが必要なのか」「現実的に自分たちでやれそうなのはなにか」ということを考えられなくなります。

「やれること」の徹底的な具体化が思考のブレーキを外す

このような思考停止状態になっている営業メンバーに対して、「そんなことは気にせずに、お客さまのプロジェクトの支援をしよう!」などといくらハッパをかけたところで、営業メンバーはなかなか身動きできません。「具体的になにをしたらよいのか」「現実的になにができるのか」ということに考えが至っていないからです。

では、事例で紹介した原料メーカーに対してトライツがしたことは何だったのでしょうか?

それは「顧客のプロジェクトを先に進めるために必要なことはなにか」「その中でこの企業が実際にできることはなにか」を徹底的に具体化し続けた、ということに尽きます。顧客のプロジェクトが難航している状況を見た上で、「どんな情報が必要なのか」「それをどのタイミングで誰から伝えるのが一番有効なのか」「実際に資料にしてみるとどんな風になるのか」などとトコトン具体的に考えるようにしたのです。これによって、営業メンバーは具体的かつ現実的に「これをやればいいんだ!」が分かるようになりました。

それに加えて、プロジェクトマネジメント型営業をやりやすくするための営業ツール作りや資料作りといったお膳立てをしたことで、「これならやれそうだ!」とさらに前向きに取り組めるようになったのです。

その結果、この営業部門では大手メーカーからの大口受注をいくつも獲得することができました。そして、それぞれの営業メンバーが顧客の商品開発プロジェクトの進め方について深く理解し、またより幅広く顧客に対応できるようにもなりました。プロジェクトマネジメント型営業によって、営業メンバーが一段成長することができたのです。

思考のブレーキを外してプロジェクトマネジメント型営業に挑戦しよう

多くのB2B企業には、顧客と寄り添って仕事をしてきた実績があり、優秀な営業担当者に優秀な技術・サービス部門が揃っています。そのリソースをもってすれば、顧客企業のプロジェクト推進を支援し、ときにはリードもする「プロジェクトマネジメント型営業」は難しいことではないはずです。

しかしその一方で、これまでの営業自身の経験や、善かれと思ってするマネージャー/幹部からのアドバイス、マネジメントルールなどが逆に働いて「それ以上は深追いしない」「自分たちのシゴトはここまで」というブレーキがかかってしまい、その先のことを具体的に考えられないでいる営業現場をよく見受けます。

自分たちの思考に対するブレーキに気づき、それを外していく。このことが、プロジェクトマネジメント型営業に実際に取り組むにあたって必要不可欠なのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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