営業戦略

商談は「プロジェクト」だと思ってマネジメントしてみよう(前編)

商談は「プロジェクト」だと思ってマネジメントしてみよう(前編)

B2B営業では、営業からはただの「商談」にしか見えなくても、顧客にとっては何らかの「プロジェクト」であることがあります。例えば、TV会議システムの商談は顧客から見ると「業務効率化プロジェクト」であり、SFA導入は「営業改善プロジェクト」になるでしょう。そうなると、当然のことながらこれらの商談が前に進むためには、顧客のプロジェクト自体が前に進まないといけません。

今回のトライツニュースでは、トライツが関わったコンサルティング事例をもとに、顧客のプロジェクトを前に進める「営業スタイル」について考えてみたいと思います。

事例:積極的に顧客の商品開発プロジェクトに関わろう!

ある原料メーカーの営業部門は、商談の受注確率で悩んでいました。顧客である消費財メーカーは各社とも定期的に新商品を発売します。そのため「なにか面白い原料はないか」と問い合わせをもらうことが多く、商談の数で困るということはほとんどありませんでした。

そして、実際に良い原料を作っているので顧客からの反応も上々なのですが、どうも商談が途中で止まってしまうことが多いのです。「良い提案だったのですが、今回は新商品の発売自体が見送りになりました」「別のテーマの優先順位が上がりました」などと言われ、なかなか最終的に商品化される=原料が採用される数が増えないのです。

この状況を営業マネージャーや本社の営業企画メンバーと検討した結果、分かったことがありました。それは「顧客は原料の選定・調達で困っているのではない。それよりも、商品開発プロジェクト自体を進めることで苦労しているのだ」ということでした。そこで、「顧客の商品開発プロジェクトにもっと積極的に関わっていこう」と決めたのです。

顧客のプロジェクト推進支援が営業を不可欠な存在に変えた

この決定は、その部門の営業スタイルを大きく変えるものでした。それまでの自社商品を紹介して、それ以外は顧客からの問い合わせに対応する営業スタイルから、顧客の商品開発プロジェクトについての課題や悩みを聞き出してそれに応えることで「顧客のプロジェクトの推進支援」をする、そのような営業スタイルへ大幅に転換することになったのです。

トライツは、この営業スタイル転換の支援に関わっていたのですが、営業メンバーの活動の変化は目覚ましいものでした。顧客の試作が上手くいってないと分かると一緒に問題分析をして次の試作計画を考え、商品コンセプトの検討が難航していると聞くと広告代理店との企画会議に同席させてもらい原料メーカーとしての立場からコンセプト案を提案するようになりました。

そして、一部のメンバーはそれだけにはとどまらず、顧客の商品開発プロジェクトのスケジュールを顧客と共有し、「次の開発会議までにどんな準備が必要か」「マーケティング部で売上試算するためにどんなデータが必要か」などプロジェクト全体をリードするようになっていきました。その結果、顧客のプロジェクト会議に当たり前のように呼ばれるようになり、一緒に顧客の社内をどうやって説得するかという作戦会議にも同席するようになりました。原料メーカーの営業担当者が、顧客の商品開発プロジェクトになくてはならない存在になり、当然原料が採用される数も増えていきました。

顧客と一体化できる「プロジェクトマネジメント型営業」

ご紹介したような営業スタイルには一般的に名前はついていません。あえて名前を付けるとしたら「プロジェクトマネジメント型営業」となるでしょうか。

世の中に○○型営業という言葉はたくさんあります。広く使われている「提案型営業」「ソリューション型営業」などは、顧客の要望や課題に対して顧客から求められて対応していく営業活動です。この場合、何を課題として何を要望するかは顧客がコントロールし判断します。しかし、上で紹介した事例では営業担当者があたかもプロジェクトのコアメンバーであるかのように、プロジェクトの全体像を見ながら次に何に取り組むべきなのかを顧客と一緒に考えながら進めています。依頼を受けて対応するのではなく、一緒に計画し一緒に検討する。そもそもの関わり方が違うので顧客との関係が変わり、成果が出たのです。

では、なぜこの企業の営業メンバーは「プロジェクトマネジメント型営業」への転換を成し遂げることができたのでしょうか。次回のトライツニュースでは、その裏側についてご紹介したいと思います。

(次週、後編につづく)

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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