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4月から新年度がスタート、という方も多いのではないでしょうか。そして、総務や労務に携わっていた方はよくご存じだと思いますが、4月は健康保険組合から健康診断の書類が届く月でもあります。毎年ちゃんと健康診断を受けて、自分の体についての様々な数字をチェックし、いつも健康に仕事ができるようにしたいものです。

さて、B2B営業・マーケティングの分野でも、アメリカを中心に毎年多くの診断・調査が行われています。それらの数字を見ることで、業界・市場がどのように変化してきているかを知ることができるので、こちらも意識してチェックしておきましょう。

今回のトライツブログでは、B2B営業・マーケティングに関する最新の調査結果の中から、特に最近のトレンドを反映しているものを厳選してご紹介します。

データその1:オンライン化が進む顧客の購買プロセス

まずは、顧客が営業に出会うまでの「隠れた購買プロセス」についてのデータから見てみましょう。

  • 一般的にB2B購買担当者は営業担当者に連絡を取る時点で、すでに購買プロセスの57%を終えている(情報源:CEB)
  • 顧客の購買プロセスの67% はオンライン上で行なわれている(情報源:Sirius Decisions)

なんと、顧客の購買担当者が自社の営業担当者に会うまでに、購買プロセスが半分以上終わっているというのです。では、顧客はオンライン上で何を見ているのでしょうか。

  • 10人のB2B購買担当者のうち9人が、オンライン上のコンテンツは購買決定に対して「中」ないし「大」の影響を与えると考えている(情報源:CMO Council)
  • 約73%のオンライン顧客は、自分に興味がない/関係のないコンテンツ(例:広告、プロモーション、オファーなど)がウェブサイトに表示されることにイライラを感じている(情報源:Janrain & Harris Interactive)
  • 企業内で購買の決定権を持つ人の80% は、広告よりも複数の記事から相手企業の情報を得たいと思っている(情報源:B2B PR Sense Blog)

どうやら、従来型のWeb広告には顧客はうんざりしている様子。それよりも、記事などのコンテンツから情報を得ようとしているようです。また、非常にアメリカらしいなと思えるデータもありましたので、あわせてご紹介します。

  • 55%のB2B購買担当者は情報検索をソーシャルメディア上で行う(情報源:Biznology)
  • 84%の経営幹部は購買決定を行う際にソーシャルメディアを活用している(情報源:IDC)

LinkedInなどのソーシャルメディアがビジネスでも重要な位置を占めていることが見てとれます。

データその2:テレアポ頼みの営業に危険信号?どうなる電話営業

続いては、少しアナログな感はありますが、今でもB2B営業の必需品。電話についてのデータです。

  • 2007年には見込み客にコンタクトを取るために必要だった電話の回数は68回。現在は8回必要である。(情報源:TeleNet and Ovation Sales Group)
  • 勧誘電話で実際にアポイントが取れるのはわずか2%(情報源:Leap Job)
  • 営業担当者が見込み顧客にリーチしようと試みるのは、平均でたったの2回のみ(情報源:Sirius Decisions)

Eメールを送ってから「Eメールをお送りしましたのでお読みください」と電話していた頃とは隔世の感があるものです。以前と比べて、電話で顧客にコンタクトを取るのが随分大変になっているようです。

データその3:長く複雑になる顧客の購買プロセス

さて、顧客に会えてからはどのようになっているのでしょうか。次は顧客が購買に至るまでのデータです。

  • 63%の顧客は、企業の宣伝文句を信じるために3回から5回はそれを聞く必要がある(情報源:Edelman Trust Barometer)
  • 100人~500人の社員を抱える企業では、一般的に購買プロセスに携わる人数は7人(情報源:Gartner Group)
  • 今日の営業プロセスにかかる期間は、5年前と比較して22%長くなっている(情報源:Biznology)

最近「戦略調達」というキーワードを冠した書籍が多く出回っています。このデータからも、どこから何を買うかを担当者だけで決めるのではなく、組織でじっくりと時間をかけて検討するようになっていることがわかります。

データその4:見込み客の関心をつなぎ留める情報発信がキモ

最後は、見込み客についてのデータです。

  • リードナーチャリング(見込み客の育成)を行っていないケースと比較して、行っているケースの購買金額は47%大きい(情報源:The Annuitas Group)
  • B2B企業は常日ごろ、買い手に重要な情報を送るチャンスを逃しており、ブランドメッセージによって自社を他社より引き立たせることに失敗している(情報源:McKinsey)
  • B2B分野では、ミスしたことによってではなく、関心を持ってもらえなかったことによって65%の顧客を失ってしまっている(情報源:同上)

常日ごろから見込み客に情報を提供し、自社についての関心を高めておくことの重要性がよく表れているデータだと言えます。くしくも、最初にご紹介した「顧客はオンライン上の記事・コンテンツからの情報取集を重要視している」というデータとも、つながっていますね。

日本市場の先行指標!アメリカのデータから次の打ち手が見えてくる

駆け足でアメリカのB2B営業・マーケティングの最新データをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
「確かに、ウチの営業でも同じ傾向が出ている!」というものもあれば、「これはちょっと違うな」というものもあったかと思います。

最近ようやく「B2B営業」「B2Bマーケティング」に関する書籍も増えてきましたが、日本のB2B営業・マーケティングに関する調査データはまだまだ少ないのが実情です。そのような中、お国柄や商習慣の違いなどはあれど、今回ご紹介したアメリカの調査結果は日本市場の先行指標としてとても参考になるのではないでしょうか。

今回の調査データ全16件のうち、自分たちの会社にいくつ当てはまるものがあったか、ぜひチェックしてみてください。その結果から、いま何に力を入れるべきなのかがきっと見えてくるはずです。

 

参考: Statistics Every B2B Company Should Know in 2016 to Boost Their Sales|Blender