コミュニケーション

顧客との信頼関係づくりには「結果」よりも「姿勢」が重要

顧客との信頼関係づくりには「結果」よりも「姿勢」が重要

新規受注の苦労や手間を考えると、今取引している顧客とは末永くお付き合いしたいもの。しかし、多くのB2B顧客は、そうは思っていないのかもしれません。

今回のトライツニュースでは、B2B顧客との信頼関係に関するアメリカでの衝撃的な調査結果から、顧客との信頼関係づくりについて考えてみたいと思います。

7割以上のB2B企業は顧客から「切られる」リスクに直面している

アメリカに本拠を置く調査・シンクタンク会社のGallup社が先月発表したB2B企業向けの調査レポート「Guide to Customer Centricity : Analytics and Advice for B2B Leaders」で、顧客とのエンゲージメント(engagement 愛着心、婚約などの深い結びつき)についてのデータがありましたので、ご紹介します。

このレポートは5年間10万人以上からの回答をもとに作られたもので、それによるとB2B顧客の中で「特定の売り手企業と完全にエンゲージしている」と答えている割合はわずか29%。つまり、71%の顧客は他の企業に積極的に乗り換えようとしていたり、なんとなく惰性で契約を続けていたりするのです。

もちろんB2B企業にとって顧客とエンゲージできていることには大きなメリットがあります。レポートによると、顧客とエンゲージメントできている企業は、そうではない企業と比べて以下のような傾向があるそうです。

  • 売上利益率が50%高い
  • 生産性が34%高い
  • 顧客の自社占有率が55%高い
  • 顧客が新しい事業を始めるときに最初に声をかけてもらえる確率が33%高い
  • 顧客流出率が63%低い
  • 営業で結果が出るまでの日数が32%少ない

それでは、どうすれば顧客とエンゲージできるようになるのでしょうか。レポートではB2B顧客が購入した商品・サービスに問題があったときの売り手企業の対応と、エンゲージ率との関係に着目しています。

  • 問題が解決されたことに大変満足した場合のエンゲージ率:27%
  • 問題が解決されなくてもその対応に大変満足した場合のエンゲージ率:54%
  • 問題が起こらなかった場合のエンゲージ率:50%

なんと、問題が解決されることよりも、問題を起こさないことよりも、起きた問題への対応が良い方がエンゲージ率が高いというのです。確かに日本では「あそこの会社は良くやってくれるから」と言って、一生懸命対応してくれる会社を贔屓する傾向がありますが、意外なことに訴訟大国で結果を重視するイメージの強いアメリカでも、問題が解決したかどうかではなく、対応で良い印象を与えた企業と長く付き合おうと考えているようなのです。

顧客の問題に対する営業の取り組み姿勢が見られている

Gallup社のレポートから「顧客とのエンゲージメントが大切」と、「エンゲージメントづくりのために、問題やトラブルへの対応の仕方・姿勢が大事」という2点を学ぶことができました。では、この教訓をB2B営業にどのように応用すればよいのでしょうか。

それは、トラブルやクレームにきちんと対応するのはもちろんのこと、営業が顧客の抱える厄介ごとに首を突っ込んだり、顧客に言われる無理難題にチャレンジしたりして、諦めずに最後まで付き合うその姿勢を顧客に見せることで良い印象が残るようにすることです。

実際に営業現場では、「顧客からの『急いで納品してほしい』というお願いに社内で手を尽くして対応したから、注文量が倍増した」「顧客のトラブル対応に力を貸したことに感激してもらって、見込み客を紹介してもらった」といった話を聞くことがあります。先週のトライツニュースで扱った「営業は顧客の世話を焼こう」という考え方にも相通じるものがありそうです。

顧客の問題にかかわる営業チームをつくるには

とはいえ、顧客の問題に首を突っ込んだり顧客の無理難題にチャレンジしたりしようとしても、「上手くいかなかったらどうしよう?」「できないなら、最初から手を出さない方がよいのでは?」とついつい考えてしまいがちです。

営業が顧客の問題に対して一歩踏み出すのを躊躇するのには、無駄なことを排除して効率を追求するマネジメントや、そもそも営業現場に余裕がないことなどの理由もあります。営業が顧客のために動いているのを見て、「余計なことをするな」「それで一体いくらの売上になるんだ」と営業マネージャーが押さえつけるばかりだと、営業のやる気はそがれてしまいます。それでも顧客の問題にかかわりたい営業は、上司にばれないようにコッソリと対応していたりするものです。

営業マネージャーとしては、そういう自主的に問題にかかわろうとするタイプの営業に対しては、やりすぎてしまわないように様子を見ながら手綱を引けばよいのですが、より悩ましいのは顧客の問題には一切かかわろうとしないタイプの営業ではないでしょうか。このタイプの営業は、そもそも顧客の問題に対する感度が低くて顧客の問題に気が付かなかったり、直接売上につながらない余計なことには首を突っ込まないのがスマートな営業のやり方だと思い込んでいたりします。

このタイプの営業は、顧客の問題にかかわらせようとしてKPIなどの目標値を定めても、何かと理由を付けて動かないことが多いように思われます。こういった営業には、上司やマネージャーが顧客の問題にかかわることに「お墨付きを与える」ことと、自主的に動くタイプの営業と組み合わせて「自分もやらざるを得ない状況をつくる」ことで、次第にその人が感化されていくように仕掛けるのが1つのアプローチです。

顧客にとってかけがえのない存在になろう

せっかく受注した顧客とは信頼関係を築いて長くお付き合いしたいもの。そのためには、顧客とのトラブルやクレームに真摯に対応したり、顧客が抱える問題ごとに誠実に対応したりすることが大事です。

いつでも交換可能な一介のサプライヤーになるか、顧客にとってかけがえのない存在になるか、それは営業の姿勢・スタンスにかかっているのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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