営業戦略

パーソナルブランディング再考:『専門性』でWebに代替されない営業になる

パーソナルブランディング再考:『専門性』でWebに代替されない営業になる

以前のトライツニュースで 『内向的な人』のパーソナルブランディング という記事がありました。そこでは、当時(2013年)日本にも浸透し始めたSNSを有効活用することで、内向的な気質のビジネスパーソンでも自らのブランドの確立が容易になる、という考えをご紹介しました。

この記事は現在でも「内向的、パーソナルブランディング」というキーワードで検索することによってご覧いただく方が多く、トライツニュースの中でも人気記事の1つです。

この記事を書いてから2年あまり、FacebookをはじめとするSNSはさらに多くのビジネスパーソンが投稿・確認するものになり、通勤時間や昼休み、帰宅後のSNSチェックが日課になっている人も多いのではないでしょうか。

今回のトライツニュースでは、B2B営業に焦点を当てなおして、改めてパーソナルブランディング確立のために大事なことを考えてみたいと思います。

B2B営業のパーソナルブランディングの柱は『専門性』

所属する企業ではなく、個人についてのイメージを売ることで自らの認知度を高め、よりビジネスのパフォーマンスを高めようとするパーソナルブランディング。これまでパーソナルブランディングに関するたくさんの記事や書籍が出ています。それらの中では、出身や経歴、趣味などの個人的な側面を自分の専門性と組み合わせて、ブランドコンセプトとすべきであると言われています。

しかし、個人対個人の人間関係だけでなく、会社対会社の取引となるB2B営業では、「釣りが大好き」「甲子園経験あり」などの個人的な側面は雑談の種にこそなれ、それをきっかけに商談が生まれるということは現実的ではないように思われます。やはり、B2B営業のパーソナルブランディングの柱となるのは、専門分野における卓越した知識や技能、すなわち『専門性』なのです。

ただし、Webが浸透しさまざまな情報が容易に手に入れられるようになった現在では、Webで検索すればわかるような情報を持っているだけでは『専門性』とは言えなくなりつつあります。自社が扱っている商品・サービスをカタログ通りに説明できるだけでなく、国内・海外の市場動向や、大学などの研究機関で進められている先進的な研究内容、実際にユーザーと話をしてきた経験から得られたユーザーが本当に困っていること。顧客に忙しい中でも会おうと思ってもらうためには、これらの情報をうまく組み合わせながら、顧客の仕事に対してアドバイスができるような専門性が求められるのです。

調査データからも明らかになったB2B営業における『専門性』の重要性

マシュー・ディクソンとブレント・アダムソンというアメリカの経営コンサルタントが書いた「チャレンジャー・セールス・モデル」(海と月社、2015)という、B2B営業の新しいモデルを提唱している本があります。B2B営業のブランディングに必要な『専門性』について、この本の中に参考になる箇所がありますので一部を抜粋しご紹介します。

「販売員調査のデータを因子分析したところ、きわめて興味深いことが分かった。調査した44の属性は、5つのグループに分けることができたのだ。」(P.39)

「販売条件の複雑さによってハイパフォーマーを2つに分け、比較的シンプルな単独製品を短いサイクルで売るハイパフォーマーと、もっと複雑なバンドル製品やソリューションを、比較的長いサイクルで売るハイパフォーマーとを比較した。すると、複雑な販売では『チャレンジャー(※5つのグループのうちの1つ)』が圧倒的多数で、ハイパフォーマーの50%以上を占めていた」(P.51)

「『チャレンジャー』は論客だ。顧客のビジネスに対する深い理解をもとに、顧客を教え導くタイプである。(中略)顧客のビジネスについて独自の視点を持ち、双方向の対話能力に長けている『チャレンジャー』は、営業上のやりとりのなかで差別化ポイントを指導することができる。顧客のバリュードライバーや経済ドライバーを把握している『チャレンジャー』は、顧客組織の中の正しい人に正しいメッセージを伝え、共感を得られるよう適応することができる」(P.45)

この本で『チャレンジャー』と表現されている営業担当者は、単に専門知識を持っている物知りではなく、それをベースに顧客に役立つ自分の考えを述べることができる人材であると考えられています。

確かにWebの普及で情報だけは簡単に集められる世の中になりました。だからこそ、その情報を正しく使って自分の考えをしっかり伝えられる人が顧客から評価され、ハイパフォーマーになることができるということだと思います。

では、あなたや、あなたの部下がこれからも営業をやっていくにあたり、どんな専門性を武器にして営業をやっていこうと考えておられますか?

『専門性』をPRするのにSNSは格好のツール

営業担当者に「どんなお仕事をしておられるのですか」とお聞きすると、「単なる営業です」と言う方がよくいらっしゃいます。これからの時代、いわゆる自社商品の情報提供しかできない営業担当者は、Webに代替されてしまうことでしょう。そこで「営業を担当しています。専門は○○です」と、堂々と言えるようになる必要があるのです。

例えば、個人病院で使う医療機器を売っている営業担当者が、「医院づくりの専門家」と言えるようになるためには、実に幅広い知識を学び、多くの医師やスタッフと会話を重ね、実際に医院の成長に携わる必要があります。そして、そのような人間であることを分かってもらうためにどうするかと考えたとき、はじめてパーソナルブランディング・ツールとしてのSNSの有効性が活かせることになると思います。

具体的には、名刺に「医院づくりのアドバイザー」などと書くのではなく、SNSで自分が関わった医院のことをカッコよく発信するとか、自分が参加している勉強会のことを書くとか、専門家としてのリアルな活動内容をPRすることでホンモノとしての価値を伝えることができるのです。

SNSによりパーソナルブランディングの意識づけを

また、このことは「営業担当者としてこうなりたい」というビジョンを持って仕事をすることにもつながります。

自分の仕事への取り組みを発信することで、自分が普段やっていることの整理や気づきにもなりますし、目の前の仕事に忙殺されないためにも「自分は○○の専門性を武器にするのだ」と腹に決め、そのプロセスをSNSで定期的に発信することでパーソナルブランディングを実現していく、実はとても効率的なアプローチであると言えるのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
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