マーケティング

ビッグデータ再考:B2B企業が柔軟な発想でビッグデータに取り組むには

ビッグデータ再考:B2B企業が柔軟な発想でビッグデータに取り組むには

ここ数年、ビジネスの世界でよく耳にするようになった言葉の1つに『ビッグデータ』があります。2013年に流行語大賞の候補になって以降もその勢いはとどまらず、2015年になっても『ビッグデータ』という言葉がタイトルに使われている書籍が何十冊も出版されています。

新聞・雑誌やセミナーなどでも、「ビッグデータを導入・活用することでよりきめの細かい顧客対応ができるようになった」という話を見聞きする機会が増えています。しかし、導入事例をよく見てみるとB2C企業や公共・自治体がほとんどであり、B2B企業ではまだまだ浸透していないように思われます。

今週のトライツニュースでは、B2B企業が柔軟な発想でビッグデータに取り組める方法を考えてみたいと思います。

B2C分野で先行するビッグデータ

そもそもビッグデータとは何なのでしょうか?
その名のとおり巨大なデータのことですが、単に量の話だけではなく、データの質の多様さ、データの変化の速さなどがあわさった「複雑なデータ」のことを指し示しています。ソーシャルメディアやECサイトのデータがビッグデータの代表例です。

例えば、ある百貨店では新店舗開店に向けて、そのエリアに集まる消費者がどんなトレンドに興味を持っているかをTwitterのつぶやきを分析して調べ、新店舗の売り場づくりやキャンペーンに反映させるという取組を行いました。このように、B2Cの営業やマーケティングの場面でビッグデータは積極的に活用されてきたのです。

そのような経緯のためか、B2B分野でのビッグデータの活用事例の多くが、B2C事業も行っている企業によるものです。例えば、パナソニックはSNS上のエンドユーザーの口コミ情報を分析・活用して相手企業に対して提案する、というようにビッグデータに取り組んでいます。このように、B2Cの知見のある会社がそこで培ったビッグデータの分析ノウハウをB2B分野に適用するというのが、B2B分野におけるビッグデータのもっとも一般的な活用法であると言えるでしょう。

B2B分野ならではのビッグデータの取り入れ方を考える

このような事例の話を聞くにつけ、
「やっぱりビッグデータはB2C向きだ」
「システム構築だけでも結構なコストがかかるだろうし」
「そもそも自社のB2B事業にはマーケッターと言えるような人材もいない」
と、ついつい「ビッグデータは自社には関係のないものだ」と思ってしまっているのではないでしょうか。

確かに、B2B事業でB2C並みのビッグデータ分析のシステムを導入・運用するのは、あまり現実的ではないでしょう。必要なコストに対して、得られるメリットが少ないからです。しかし、ちょっと視点を変えることでB2B事業なりのビッグデータ活用のアイデアが見えてきます。

アイデア1:お手軽なソーシャルメディア分析サービスの活用

その1つの手段として、現在増えている各種のソーシャルメディア分析サービス/アプリケーションの活用が挙げられます。最近では月額数万円程度のコストで、Twitterやブログ・掲示板の口コミ情報を収集・分析することが可能なサービスがいくつもあります。

ある企業が提供しているサービスでは、キーワードを設定することで、年齢別・性別・エリア別にどのような口コミがどれだけ発信されているのか、そのうちポジティブな感情で発信されているものがどれだけあるのか、反対にネガティブな感情で発信されているものはどうか、といった情報を知ることができます。こういったエンドユーザーの特徴を知ることで、新しい提案の切り口が見つかるでしょうし、よりマーケットに近づき一味違った提案書になることでしょう。

アイデア2:社内に埋もれているデータの活用

もう1つの手段として、社内に埋もれているデータの有効活用が挙げられます。ビッグデータの本質は、これまで手に入れたり活用したりすることが困難なデータを使って、これまでにない知恵を手に入れることにあります。そのように考えると、ソーシャルメディアなど社外に目を向ける前に、自社内にまだ利用されていない情報が数多く眠っていることが分かります。

SFAやメールの中に埋もれている商談情報や、営業担当者の手帳や顧客からもらった名刺の端に書き込まれている顧客情報、関係者を集めてこれらの情報を顧客別や商品別に棚卸ししてみる。このように今まで見ていたよりもビッグ(な)データに目を付けるところから始めてみるのです。

B2Bにおいても『ビッグ』なデータで視野を広げよう

一般的に、ビッグデータとはスーパーコンピューターを使って処理するような、膨大なデータのことだと思われています。しかし、ビッグデータを『今までよりもビッグな』データだと考えれば、もっと身近な方法で取り組むアイデアが見えてきます。

ビッグデータとはこういうものだと決めつけて、「使える」「使えない」と判断することに意味はありません。今まで見てきたデータよりも大きな範囲で社内のデータを見直してみるとか、どこかにあるビッグデータを使った分析サービスの利用など、自社なりの『ビッグ』なデータの活用の可能性はいろいろあるものです。

このようにいろいろ考えている中で気づいたのですが、『ビッグデータ』だけでなく今後も世の中には新しいビジネスコンセプトが次々と出てくることでしょう。それに対して、柔軟な発想で自社なりにアレンジして取り入れてみる、ということが大切なのだと改めて思いました。

投稿者プロフィール

角川 淳(つのかわあつし)
既存の営業の良い部分を活かし、現場に合わせて新しい考え方や道具を取り入れる「営業リフォーム」がコンサルティングコンセプト。事業の継続的な発展を支援します。
See more info
URL
TBURL
Return Top