コミュニケーション

予期せぬ商談の危機!営業としてどう顧客とコミュニケーションをとるべきか?

予期せぬ商談の危機!営業としてどう顧客とコミュニケーションをとるべきか?

商談を進めている途中で、想定外のことが起きて商談が遅延したりストップしたりしてしまうことがあります。B2B営業の中でも商談期間が長い営業であればなおさら、商談を進めている途中でいろんなことが起きるものです。

今回のトライツニュースでは、商談途中で発生する思いもよらない危機への対応方法について、事例を参考にしながら考えてみたいと思います。

事例:人事異動で商談がお蔵入りの危機に!

大型業務システムを販売するA社。商談を受注するためには、顧客の現在の業務の棚卸やシステム導入後の仕事の設計、顧客の関係部署との調整などが必要なため、A社の商談期間は半年から1年ほどかかっています。

大手企業X社との商談も正念場を迎えていました。すでにX社とA社による新システム導入プロジェクトも立ち上がっており、社内決裁が目前というところまでこぎついていました。

そのような中、A社の営業担当者が定期的に実施しているプロジェクト会議に臨んだところ、何やらX社のプロジェクトリーダーが落ち込んだ表情をしています。たまらず「どうかされましたか?」と尋ねたところ、なんとプロジェクトリーダーが月末の人事異動でまったく異なる部署に移ることになったということでした。

しかも、プロジェクトリーダーが社内決裁のキーマンである役員に、このプロジェクトについてどうするのか質問したところ、「今のタイミングで性急に決裁を取るのではなく、システム導入の責任者となる後任プロジェクトリーダーの考えも汲んだ内容で企画する方がよいのではないか」と言われてしまったそうです。

つまり、このプロジェクトについては現時点の状態で検討をいったんストップし、後任のプロジェクトリーダーにうまく引き継ぎをおこなって、「引き続きこのプロジェクトに取り組みたい」と言ってもらわないといけません。その上で社内の最終決裁を通らないと、受注には至らないのです。

しかも運の悪いことに、人事異動の発表の前日にプロジェクトリーダーが役員に、社内決裁に向けた事前打ち合わせとしてプロジェクトの概要について話をした結果、いくつかのポイントについて「もう一度考え直すように」という指示をもらっていたところなのでした。そのため、後任のプロジェクトリーダーにとっては、今ある計画書をそのまま起案すればよいわけではなく、見方によっては「一度ケチがついた」プロジェクトとも受け取られかねません。そのようなプロジェクトに取り組みたいと思ってもらうためには、どのように引継ぎをしたらよいのでしょうか。

申し訳なさそうに事情を話すプロジェクトリーダーの話を聞きながら、A社の営業担当者は目の前が真っ暗になっていきました。
「これまで膨大な時間と社内のリソースを注ぎ込んできたプロジェクトに黄色信号が灯っている。もしかしたら後任の方の考え次第では、このプロジェクト自体がお蔵入りしてしまうのではないか?」

後任者が「やりたい」と思えるような引き継ぎの仕方は?

もし皆さんがA社の営業担当者だったら、どのように対応するでしょうか。

ついやってしまいがちなのが、引き継ぎをしてもらうときに「こういうプロジェクトありますが、まだGoサインをもらっていません。Goサインをもらうためには、いくつかの課題があります」とストレートに伝えてしまうことです。

その結果として、
・このプロジェクトは課題を抱えている
・進めるかどうかを判断するのは、新任者である自分だ
と後任者に思われてしまいます。一度「やっかいな仕事を引き継がされた」と思われてしまうと、なかなか前向きになれないものです。結果、A社の営業担当者が懸念していたように、本当にプロジェクトがお蔵入りしてしまいかねないのです。

では、それに対して
「基本的な部分はすでに詰めてきている」
「あとは、このところだけ方向性を決めればすぐに起案できる」
「そこをどうするかは後任であるあなたに任せるから、好きなようにアイデアを出してほしい」
「ここまで仕上げてきて、あとは社内決裁だけのところで引き継ぐので、自分としては残念だ。惜しいことをした」
と伝えられたなら、プロジェクトを継続するかどうかではなく、残された細部についてどのようなアイデアを出したらよいかについて積極的に考えてもらえるようになるのではないでしょうか。

もちろん嘘をつくことはいけませんが、X社の後任者が「ラッキー!いいプロジェクトを引き継ぐことになった」と思えるような引き継ぎができれば、当初の想定に近い進め方やスケジュールでシステム導入すなわち受注に至ることができるでしょう。

商談成功のカギは「顧客に何を意思決定させるか」

この2つの引き継ぎの仕方の決定的な違いは「後任者に何を選ばせるのか」ということです。

最初の引き継ぎの仕方では、「プロジェクトを継続するかしないか」という選択肢があるように見えます。それに対し、2つ目の引き継ぎの仕方では、プロジェクトの継続を『前提』として「いくつかのポイントについて、それぞれをどうするか」を選択させるように話を進めています。つまり、後任者のメンツを立てて、責任者として意思決定/判断をさせながらも、プロジェクトそのものは継続するものとして引き継いでいるのです。

「顧客の意思決定をデザインし、リードする」ことが営業の役割!

この事例のような人事異動に限らず、商談の危機にあたって商談をどうにかつなげようと思って手を打つことが逆効果となって、顧客が購買の意思決定を躊躇してしまう、ということが営業現場ではよく見られます。

ここで、顧客のためらいを引き起こす要因は、顧客に「やる/やらない」の意思決定をゆだねようとする営業担当者の考え方にあります。確かに、購買するかどうかを決めるのは顧客ですが、顧客社内で何層にも重なっている意思決定の構造の中で「やる/やらない」の2択を何回もゆだねてしまっては、単純に考えても最終的な受注に至る確率はかなり低くなってしまいます。

多層的な意思決定構造を持つB2B営業において、より高い確率で受注を得るためには、それぞれの階層・場面で単純な「やる/やらない」という意思決定に陥らないよう、営業が巧みに顧客の意思決定を設計していかなくてはなりません。
営業担当者には、「顧客の意思決定をデザインしリードする」という大事な役割があるのです。

投稿者プロフィール

寺島 孝輔
実際に現場で成果が出るまでお手伝いします。現場の力を引き出し、現場に新しいアイデアを加えることで、顧客から選ばれるビジネスへの変革を実現します。
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