最近、さまざまな雑誌で取り上げられるようになっている「B2Bマーケティング」。マーケティングオートメーションなど最新技術の発展もあいまって、マーケティングの中でも見逃すことのできない分野となりつつあります。

今回のトライツニュースでは、CRMソフトウェア企業のSalesforce(セールスフォース)が発表した「2015年度B2Bマーケティング現状レポート」について見てみましょう。本レポートでは、モバイルをはじめとするB2Bマーケティングのトレンドが明らかになっています。特にモバイルについては、今回の調査対象となったB2B企業のうち実に60%が「成功の重要な鍵」であり、売上全体にも影響を及ぼすものだと考えていることが分かりました。

本調査は2014年秋に2,100人を越す世界中のマーケティング部門の担当者を対象に行われました。これによるとB2Bマーケティング分野でのモバイルの重要性は今後さらに高まります。マーケティングチャネルの中でもモバイルについては、動向のチェックや投資をしていく必要があるのです。

セールスフォースの今回の調査の目的は「すべてのデジタルチャネルの中でのマーケティング部門の2015年の最優先項目を理解する」ことにありました。「B2BとB2C ではマーケティング部門が持つゴールや戦略は異なります。その上で2015年度のB2Bマーケティング像についての深い知見を提供することを目指した」 と、セールスフォースは述べています。

9割が「効果あり」と回答!モバイルマーケティング

多くのB2Bマーケティング部門にとって、モバイル分野は2015年に特に意識すべき項目となっています。調査結果によると、B2Bのマーケティング部門はモバイルマーケティングが企業の収益に直結していると考えています。

データによると、B2Bマーケティング部門の53%がマーケティング戦略の一部としてモバイルチャネルを使用しています。また、そのうちの92%はモバイルマーケティングの効果はプラスであると回答しています(61%が「とても効果がある」と回答し、31%が「少し効果がある」と回答)。

では、B2Bマーケティング部門は一体どのようにモバイルを使用し、それを成功につなげているのでしょうか? 多かった回答をいくつかご紹介します。

  • 祝日やイベントにちなんだキャンペーン
  • モバイル端末でのロイヤリティプログラムやSMS(ショートメッセージサービス)でのウェルカムメッセージ送信
  • SMSを使用したマルチチャネルでの顧客接点
  • SMSを使用したプロモーションメールへの登録
  • リエンゲージメント広告(既存ユーザーへの再利用喚起広告)
  • モバイル端末限定の特典提供

*上記の成功測定基準として、モバイルサイトやアプリへのアクセス数、見込み客創出数、コンバージョン率などが使用されている。

モバイル分野への予算・支出が増える

セールスフォースは「支出」についてのトレンドも発表しています。それによると、「B2B企業はデジタルマーケティングチャネルやモバイル部門についての支出を増加させる傾向にある」とのことです。

調査に参加したB2Bマーケティング部門の84%は、2015年度のデジタルマーケティングの支出は現状維持、または増加を計画していると回答しました。このなかでも優先順位が高いものとして、モバイルフレンドリーな環境づくりが挙げられています。また、ユーザーの位置情報を活用したキャンペーンも重要な項目として挙げられています。

セールスフォースは「位置情報に基づいたコンテンツ提供サービスを試すのに、あと2、3年も待つべきではない」とアドバイスします。B2Bマーケティング部門の65%が「2015年はモバイル分野での支出を増やす」という計画を立てているにも関わらず、位置情報に基づいたコンテンツサービスを開始せずにいるということは、他社に遅れをとる危険性があるのです。

また、国別のデータを見てみると、デジタルの予算を増やすことを考えているトップの国はカナダとブラジル。これらの国では95%のマーケティング部門が予算を増やす予定だと回答しています。

ミレニアル世代の影響により、B2B分野のモバイル使用率が向上

セールスフォースのレポートとは別に、2015年前期にGoogleとミルワード・ブラウン・デジタルが3,000人のB2Bリサーチャーを対象に調査を行いました。その結果、42%のリサーチャーがB2Bの購買プロセスでモバイルを使用しており、B2B分野でのモバイル使用率はますます高まっているというデータが出ました。

Googleのレポートによると、製品やサービスを探している初期段階だけでなく購買のすべてのプロセスにおいてのモバイルの使用率が、ここ2年でなんと91%の成長を見せたとのことです。

また、B2Bリサーチャーの半数はミレニアル世代であることもわかりました。ミレニアル世代とは1980年代から2000年の間に生まれた世代を指します。つまり、B2Bのインフルエンサー(購買意欲に影響を与える人物)は、これまでの予想よりも年齢層が低いのではないかと考えられるのです。

この世代はデジタル分野に強く、デジタル機器を使いこなしている世代でもあります。ミレニアル世代のインフルエンサーは今後も増え続けるでしょうから、こういった世代交代にもしっかりと目を止めることが今後の成功には不可欠です。

過去に「インターネット」を軽視していた企業は、B2Bマーケティングにおいて他社に大きな遅れをとりました。そして現在、「モバイル」でも同じことが起ころうとしているのです。

世代交代の波に乗り遅れるな!日本でも高まるモバイルマーケティングの重要性

スマホ拡大の立役者となった初代iPhoneが発売されて8年が経ちます。その間にモバイル端末やそれを使う環境もそこまで激変しているわけではありません。それなのに今、世界中のB2Bマーケティング部門がモバイルに注力しようとしている。その理由の1つが、Googleのレポートによって「購買担当者の世代交代」であることが分かってきました。そのように見ると、セールスフォースのレポートからはこの世代交代という大きな波に乗り遅れまいとするB2Bマーケティング部門の焦燥感が伝わってきます。

かたや日本でも20代前半の若年層はスマホ世代と呼ばれていますし、20~30代の若手は平日でもPCよりモバイルを多く使っているというデータもあります(「平成25年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」)。これらの若手が日本でも近い将来に企業の購買担当者となることを考えれば、世界で起きているモバイルマーケティングへの急激なシフトは決して他人事ではないのです。

しかし、日本ではモバイルマーケティングはおろかWebマーケティングにおいてさえも、ここまでの焦燥感を持って取り組んでいる企業はまだ少ないのが現実です。これを「まだ他社も取り組んでいないから大丈夫だろう」ととらえるのと、「ビジネスチャンスだ」ととらえるのでは、大きな違いが生まれます。今、モバイルマーケティングには大きなチャンスが秘められているのではないでしょうか。

 

参考:Report: B2B marketers view mobile as ‘crucial enabler’ for sales|B2BNEWS NETWORK