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皆さんは「生産技術」という言葉を目にしたことはありますか。生産技術という言葉を初めて目にする方は、工場で製品をつくるための技術のことだろうと考えてしまいがちです。しかし、実際にはつくりたいものをつくるというプロセス全体の要となる技術のことを言います。

今回のトライツブログでは、生産技術から考えをめぐらして「営業技術」というコンセプトについて考えてみたいと思います。

ものづくりの基礎を支える「生産技術」

生産技術を一言で言うと、製造業において製品・部品を効率よく量産する生産体制を築くための技術です。生産体制を築くわけですから、かなり幅広い領域を指す技術のことになります。これまで生産技術という言葉を目にしたことはなくても、「トヨタ生産方式」や「リーン生産」などのキーワードは見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。

この生産技術の高さが日本のものづくりの強さの源になっています。生産規模が小さくても利益が出せるラインや、成熟した基本技術で更に効率を高めた設備など、海外メーカーでは不可能なことを実現できている、生産技術に強い日本企業は数多く存在しています。
そこでは常にものづくりのための新しい技術開発が行われ、生産ラインを改良し続けています。ものづくりの基礎を支える「生産技術」を高めるために日々努力を重ねているのです。

これまで注目されなかった「営業技術」

ではその生産技術を使って作った製品を売るための営業ではどうでしょうか。「営業技術?」これまでほとんど使われていない言葉です。イメージするのはベテラン営業のテクニックのこと?くらいでしょうか。
しかし、ここでは生産技術の定義を参考にして考え、「営業技術」を「生産性高く売るためのしくみを築く技術」だと定義してみましょう。そして、「生産性高く売るためのしくみ」には、以下のような機能が含まれるとします。

1.顧客発掘から商談受注までの営業のやり方の全体像の設計
2.必要な営業ツールの開発・導入
3.営業担当者が実施する具体的な手法の開発
4.商談規模や受注確率などの営業生産性カイゼン活動

これらの機能は「なんとなく」それぞれの営業現場に存在しているはずです。しかし、これらが生産性高く機能するようにする考え方とか、仕事の仕方などが「技術」として見せられる形で確立している企業は皆無だと思います。それは営業という仕事は「しくみ」で行うものだという考え方が弱かったことに起因していると考えられます。業績が悪化しても「しくみが悪い」とは考えずに、個別の「営業担当者」とか「顧客」についつい意識が集まりがちで、しくみをつくり、それを上手く機能させるための技術にはほとんど注目されてこなかったのです。

Webの広がりから「営業技術」が重要になってきた

しかし、Webの広がりやそれに伴う顧客行動の変化など、営業を取り巻く環境は激変しています。
以前の顧客は何か気になることがあると営業担当者を呼んで相談してくれましたが、今は自分で検索して情報を入手するだけでなく、営業担当者の見えないところである程度の意思決定までしてしまいます。そんな顧客の購買行動の変化が起こっている中、WebはWeb担当、営業はそれぞれ現場で・・・などというやり方をしていては環境変化に取り残されてしまいます。
顧客の購買行動に合わせて、最適な顧客との接点のあり方をデザインし、それに合わせてトータルにしくみを作っていかねばなりません。そのしくみの中ではWebも営業担当者も一つのツール、顧客接点の手段としての位置づけになるのです。そこで今までに使われてこなかった「営業技術」というコンセプトはとてもわかりやすいのではないかと思います。

「営業技術」を新しい考え方として取り入れてみよう

営業現場にSFAが導入された際に「営業革新」とか「営業改革」などという言葉が使われました。これにはどうしても「現状が良くないので変える」という意味合いが含まれてしまいます。その結果、多くの営業現場にはあまり好意的に受け入れてもらえませんでした。
しかし、今までになかった新しいコンセプトとして「営業技術」を導入すると考えると、誰のことも否定することなく、前向きに取り組んでもらいやすいというメリットがあると思います。
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