マーケティングや解析機能を強化したIBMが、B2B企業向けに新たなサービス提供を開始しています。
今回のトライツニュースでは、B2B企業が顧客とオンライン上でのつながりを築く上で必要な、「顧客について学びそれに応じたカスタマーケアを行う」サービスの内容を見てみましょう。

B2Bオンライン・マーケティングの進化に挑戦するIBM

最新のマーケティング手法や解析技術をたずさえ、IBMはB2Bオンライン・マーケティングの進化に挑戦しています。

IBMは近年マーケティングや解析テクノロジー関連の企業を買収するなど、さまざまな手を尽くしてオンラインで顧客に商品やサービスを売るB2B企業の支援を開始しています。

IBMが考えるB2Bマーケターに求められる役割とは

IBM Amplify(IBMの製品・サービス利用企業向けの会議)でのインタビューでの、ケビン・ビショップ氏のコメントを見てみましょう。ケビン・ビショップ氏はヨーロッパ地域でのIBM製品マーケティング担当を経て、顧客との関係性向上の担当副社長を務めています。彼は、B2Bマーケティングに携わる企業の幹部は「これまでのB2Bマーケティングの概念に囚われない新たな役割」を担っていると言います。

その新たな役割の一つとして「顧客を分析し、カスタマージャーニーの仕組みを学び、それに対応していくこと」を掲げています。IBM でもそれに対応すべく、Eコマース向けのソフトウェア(IBM WebSphere)の提供を開始するとともに、デジタルマーケティング製品やコンサルティングサービスの提供を行っています。

「マーケターはまず初めに、顧客がどういった目的を持っていて、どんな方法で売り手とコミュニケーションをとりたいと思っているのかについて把握し、それに沿った対応を行うべきです」とビショップ氏。マーケターへのアドバイスとして、「顧客から始まって自社に至るまでの全体像を考える」というアイデアを示しています。

IBMが提供する最新のB2Bオンライン・マーケティングサービス

IBMが近年買収した企業から得た最新のマーケティング手法や解析技術を用いたサービスには、以下のようなものがあります。

  • 顧客の要望に関する情報を収集・解析するDemandTec
  • 顧客のクリックストリーム(ページ遷移)や閲覧動向を解析するCoremetrics
  • オンライン・マーケティングのターゲット選定を行うUnica
  • 顧客のWebページの移動経路を追跡するTealeaf
  • Eメールマーケティング向けのSilverpopや、モバイル端末へのプッシュ通知を行うXtify

IBMではその他にも、顧客が何に興味を持っているか、Web上での製品案内やEメール、その他のマーケティング施策に対して顧客がどういった反応を示すか、といった情報をシェアできるオンライン・コラボレーション・ツールの提供も行っています。

例えば、顧客がオンラインショッピングカートに商品を置き去りにしたときは、「カートに入ったままの商品の情報」「顧客の興味を引きそうな商品」を含むメッセージがされるようにトリガーを仕掛けておきます。「置き去り」という行為によりトリガーが実行されると、必要な情報を含んだメッセージが個人メールやウェブ広告やFacebookなど、その顧客が好むメディアを使って直接届けられるのです。

まだまだ遅れているB2Bオンライン・マーケティング

IBMコマースの製品開発責任者ジョシュ・メスバーグ氏は同インタビューで、「多くのB2B企業はデジタルマーケティングとEコマース運用システムの開発が遅れている」と指摘しています。

メスバーグ氏は、多くのB2B企業が直面する問題として、製品の多くがいまだにセールス担当者やアカウント担当者によって「オフライン」で販売されていることを挙げています。これではオンライン購買データというマーケターにとって大事な情報を得ることができず、パーソナライズ化やオススメ商品の紹介といったオンラインならではの機能を活かすことができません。

そのような中でも米国の製造業や卸売業の一部は、インターネット技術の効果的な活用による「新しい顧客価値」を見出しつつあるとメスバーグ氏は続けています。例えば、大型機器メーカーの中にはモバイルやアプリ経由で必要な部品の発注を行っているところがあります。これは商品やサービスに関するプッシュ通知をモバイル端末やアプリへと送り出す、IBMのXtifyというサービスによって可能となったものです。

参考:How IBM works with B2B companies to connect with customers online|internet RETAILER

技術に振り回されない! 顧客についての学習からはじめよう

日本国内のB2B営業においてもオンライン・マーケティング領域は飛躍的に拡大しつつあります。その中で、IBMだけでなく多くのプレイヤーがさまざまな商品・サービスを提供しています。もちろんWeb上での顧客の動きを把握し、タイムリーに情報提供することは顧客価値向上のために必要なことです。しかし、そういったWeb上での個別の体験をより良いものにしていくだけで、本当に自社の商品が売れるようになるのでしょうか。

ここで大事なのは、顧客のオンラインでのふるまいや体験を分断して改善することではなく、その一つひとつが顧客にとっての課題解決プロセス、自社にとっての営業プロセス全体においてどのような意味があるのかを考え解釈することです。例えば商品紹介ページにどんな機能を追加しようかと考える前に、そのページに顧客が求めていること、顧客が気づいていなくても顧客の課題解決のために大事なことは何なのかを言葉にすることが大事なのです。

顧客はそのページで何か他の商品と比べようとしているのか、それとも本当に安心できるものだという確証を探しているのか。顧客が求めているものが何かを知るためには、顧客の購買プロセスの深い理解が欠かせません。B2Bオンライン・マーケティングを構築・改善する最初の一歩は、最新の技術やサービスの学習ではなく、顧客についての学習なのです。