「社内で立ち上げた新規事業がなかなか思うように拡大しない」という声をよく聞きます。専門の部署やプロジェクトチームを設けて、優秀な人材を投入して、潤沢な予算を付けて、それでも新規事業が期待した規模に期待したスピードで拡大するのは極めて難しいものです。

では、立ち上げに成功する新規事業とそうでない新規事業の違いはどこにあるのでしょうか? 今回は、新規事業の立ち上げに成功するために欠かせない4つのポイントをご紹介します。

新規事業の立ち上げに欠かせない4つのポイントとは?

1.フロンティア人材の参画

新規事業では商品・サービスづくりから営業、納品、アフターフォローまでの業務プロセスのそれぞれで試行錯誤が必要になります。そのため、決められた仕事を決められた手順で着々とこなしていくタイプの人材よりも、臨機応変に仕事の仕方を変えられるような人材の方が適しています。また、営業マンもスマートに受注につなげるタイプよりも、泥臭く活動するようなタイプの方が新しい売り方を見つけたり、顧客と密接に対応することで新規事業に心酔してくれる優良顧客を見つけるものです。このようなことができる人がフロンティア人材であり、その人材を集めることと有効に活用することが、新規事業の立ち上げには欠かせません。

2.やりたいことを存分にやれる環境づくり

多くの新規事業では、会社から人材や資金を融通してもらうために、経営陣に対して事業の中身を正確に理解させようと懸命になり過ぎる傾向があります。その結果、必要以上に込み入った報告を求められたり、中途半端に口出しされてしまい、せっかくフロンティア人材を投入しても彼らがやりたいことができません。そこで大事なのは、経営陣に事業の中身を正確に理解してもらうことよりも、「新規事業の味方」になってもらうこと。プロジェクトチームに事業の中身は任せてもらい、フロンティア人材がやりたいことを思う存分やれる環境づくりが欠かせません。

経営陣に味方になってもらう方法は色々と考えられます。例えば、定期的に現場を覗きに来てもらったり、顧客とのトップ面談や自社セミナーに同席してもらうなど、経営陣に新規事業への参加意識を持ってもらうのが1つの方法です。新規事業に「一枚噛んでいる」という状態をつくることで、味方意識を醸成できるでしょう。

3.既存事業とのシナジー活用

新規事業で一番最初に訪れるハードルは、1本目の売上げの柱づくりです。この売上げの柱を今までに手を付けたこともない、まったくの新規マーケットからつくろうとすると大変な時間がかかってしまいます。迅速に最初の柱をつくるためには、既存事業の顧客に売れる商品の開発や、既存営業組織がコネクションを持っている顧客へのマーケティングなど、既存事業とのシナジーを活かせる事業戦略を展開することが効果的です。

4.ロジックの通った収益モデル

事業の立ち上げ当初から、いきなり収益が上がる新規事業はほとんどないでしょう。その場合は、収益が上がらない時期を耐えて事業継続しなければなりません。損失だけが増える中において、2年目、3年目も事業を継続させるためには、いかに今後の収益が見込めるかというロジックが大事です。もちろん、現実に収益が得られる事業であることが前提であり、収益モデルはあくまで「予想」でしかありませんが、経営陣を説得させられるロジックが通った収益モデルをつくることは必要不可欠になります。

立ち上げ期を乗り切るために、新規事業の指南役を持とう

立ち上げ期はチームの人数が少ないことが多く、また仕事の仕方もこなれていないために、チームリーダーをはじめチーム全員が目先の仕事をこなすことで手一杯になってしまいがちです。そのような中で、上の4つのポイントを実現しようとしても、役割分担することも難しく、結局は各自が目先の仕事もしながら、事業にとって大事なことも考えるという「二足の草鞋を履く」必要があります。

そのような立ち上げ期のチームに、事業の現状を客観的に見てくれて、4つのポイントをどう成長させるか相談できる「指南役」がついていてくれると大変助かります。自社の経営陣がこの指南役を担うことができれば最善ですが、経営陣の中に新規事業を立ち上げた経験のある人がいない会社では、指南役不在のまま新規事業が立ち上がっていることがあります。そのような場合は、外部の力を上手に活用することも1つの手段です。

新規事業を成功させるためには、与えられた環境の中でベストを尽くそうと考えるよりも、遠慮することなく足りないものは社内外のリソースを集めそれをトコトン使い倒してしまおうという良い意味で“図々しい”、大胆な発想が必要なのです。